いつも「10 years」をお読みいただき、ありがとうございます。
今回はタイトルの話です。
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この物語には、もっと抽象的で詩的な邦題をつけることもできたと思います。それでも、あえて具体的な数字を含む、簡素な英語のタイトルを選びました。「十年」という言葉を飾らずに掲げることで、時間そのものが物語の大切な要素であることを、静かに示したかったからです。
恋愛は、一度の告白や一つの出来事だけで完結するものではありません。相手を想う気持ちも、二人の関係も、日々の積み重ねの中で少しずつ形を変えていきます。その変化を背景ではなく、物語を動かすものとして描きたい、というのが執筆の出発点にありました。
また、「year」ではなく「years」としたことにも、ささやかなこだわりがあります。ひと続きに見える十年も、実際には異なる手触りを持つ一年一年の連なりです。季節が巡り、暮らしや価値観が変わっても、簡単には言葉にできないものが残る。その複数の時間を、「years」という一語に込めました。
読者の方にも、ご自身が歩んできた年月をふと重ねていただけたらと思っています。答えにたどり着くまで何年もかかった関係や、長い時間を経て初めて意味がわかった感情は、決して特別なものではないのかもしれません。『10 years』が、それぞれの記憶にそっと触れるタイトルになれば嬉しいです。
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次回の更新(第15話)は10月13日(火)を予定しています。