今回は、第2話「開けなくなった最初のchat」で触れたAIとの制作を、実務面から振り返る回です。
最初にAIへ頼んだのは、白紙から物語を作ってもらうことではありませんでした。すでに書いていた初版の序盤を読ませ、何が伝わり、何が分かりにくいのかを確認すること。
初見の読者に近い視点で、自分の書いたものを照らし返してもらうことでした。
そこから、眼鏡・ペン・魔といった作品の根本にある用語を整理し、中盤以降はプロットを渡し、シーンやセリフを固め、漫画制作で言えばネームに近い段階を経て、小説本文へ戻していく作業へ進んでいきました。
また、制作が長くなるにつれて、AIとの対話は本文の外側にも広がりました。
気づけば、AIは本文を書くためだけでなく、作品を見失わないための整理役にもなっていました。
今回の中心にあるのは、「AIが作ったのではなく、AIを物語での描線眼鏡や描線ペンのように利用しながら、人間が紡いでいく」
という感覚です。
現実のAIは、私にとっての描線眼鏡のようなものだったのかもしれません。
自分では見えていなかった構造や矛盾、作品の可能性を見える形にしてくれました。
お読みいただければ嬉しいです。