試しにやってみた(暇人では?)
西暦2100年――
ネオンが煌々と輝く摩天楼。一際高い高層ビルの最上階。
赤いコートを着た男と、赤い首輪をつけた黒猫がレッドドラゴンと対峙していた。
「このクソ探偵が! 我が野望の邪魔をした罪! 万死に値する!」
レッドドラゴンが牙をかみ合わせ火花を散らす。男は即座に左手のスプラッシュグレネードをレッドドラゴンの口に投げ込む。
「俺を殺したい奴が多すぎてね。整理券を配るから、最後列に並んで順番待ちしておいてくれるかトカゲちゃん?」
――戦いは一見互角かに見えたが――
「馬鹿な――!」
黒猫が叫ぶ。
「ん?」
隣にいる赤いコートの男が返事をした。
「我の知らぬ魔術だと!?」
「おいリーナス! 何が起きるんだ?」
「我にもわからん!」
「何か知らないが、とりあえず避けるぞ!」
――気が付いた時には異世界にいた。
青空の下、歩いて行く赤いコートの男の背中に向かい、黒猫が魔法を唱える。後ろ足で立ち上がり、ふらふら横によろめき、前足を上に掲げ、前足を……ふらふらとよろめき……開いて前に突き出す!
「炎よ、我が意志のもとに、矢となりて我が敵を射抜け! フレイムアロー!」
そのまま黒猫は両手を地面につける。瞬間、黒猫の周囲に炎の矢が大量に産み出され、展開。そのまま射出され、男の背中に命中した。
「なんだーっ!? カチカチ山かーっ!? いきなり首が熱い!」
赤いコートの男はあたりを走り回る。
――しかしこの男、どこにいても――
オークの群衆に取り囲まれた集落の中。
巨大な戦斧を担いだ筋骨隆々のオークと、赤いコートの男が向かい合って立っている。
赤いコートの男が宣言。
「賭けろよ、族長の座を」
「はははははは! サイトウセイジ! 何なのだお前は? 私は面白い。実に愉快だ。こんないかれたヒューマンがいるとは! いいだろう、その挑戦、受けてたとう。賭けよう、族長の座を」
歓声に包まれる集落。
――私立探偵だった。
簡素な広場の中央で赤いコートの男が腰の短剣と会話を始める。
「根性が足りないんだよ!」
「私の記憶では、あなたは根性論が一番嫌いのはずです」
落ち着いた女性の声が返事をした。
「嫌いだよ。でもな雪風、お前に押し付けるのは好きだ」
男はウインクを飛ばす。短剣から響く心配気な女性の声が、瞬時に絶対零度になる。
「あなたがここで死ぬのが楽しみになってきました」
異世界アンダーズ、公開中。