『小説 棋王戦』は、コアな将棋ファンと将棋指す人は、加藤一二三や佐藤天彦両元名人などに代表されるようにクラシック音楽好きな方も多いことから、クラシック音楽好きな方が読んだら、きっと楽しめるであろう作品だと思って書いています。
400年に一度の天才と謳われる藤井聡太さんと対峙する際、どう立ち向かうのか?をその胸の裡で激しい動きを見せるであろう内心をクラシック音楽の効果を重ねながら、よりビビッドに伝わる形で書いたつもりです。
映画監督のスティーブン・スピルバーグが、映画『ジョーズ』や『スター・ウォーズ』を製作、撮っていた際、その映像だけを撮影していた当初は、「この映画、本当に売れるのだろうか?」と演じている俳優やスタッフの中からは疑問視する声が相当数上がっていたようです。しかし、ジョン・ウィリアムズの音楽が映像に被さった後で見ると面白いのなんのって、と評価が一変したそうです。
本作は、「棋は対話なり」と言われる、言葉こそ交わさないものの、相手の手からの読み筋によるテレパシーにも似た「会話」(あっ、そういう手で来るの?でも、それはさせないよ。そう来るなら、これはどうだ?的なもの)をする訳ですが、その脳内で響き渡っているであろう、音楽を添えて物語を展開しています。
クラシック音楽が好きな方も、今まであまり聞いたことのなかった方々も、作中で出てくる音楽をかけながら本作を読んでいただけたなら、一層お楽しみいただけるのではないか?と思っております。
将棋×クラシック音楽がどストライクに心に来る方からの感想を是非、お待ちしています。もっと嬉しいのは、本作をキッカケに、将棋とクラシック音楽のファンになりました!なんて声が聞けたなら、きっと最高だろうなぁ。そんな話を聞いたら、きっと語り合いたいくらいになってしまうことでしょう。
何はともあれ、みなさまのお楽しみの一助になれば幸いです。
最後まで読み終わって「人間ってそんなもんだよな」と思っていただけたなら、嬉しい限りです。