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短編更新しました。

うっかり息子に小説書いていることがバレてしまい、背後を狙われる生活を送る羽目になりました。
……読ませねえよ!!

ホワイトデーから1週間遅れでホワイトデーネタ投稿です。ネタの鮮度よ……。
もう少しラブコメっぽくしたかったんですが、私には不可能でした(いや途中から暴走しかけたロンが悪い)
時期的には本編よりも2年くらい前でしょうか。
まだ友香は10代なので、職場ではめっちゃ気を張って威厳を演出してた頃ですね、多分。

ちなみに書いてる内に、脳内で某指揮官が不平不満をぶちまけ始めてうるさいので、下にちょこっとだけ後日談を載せております。
よろしければどうぞ。

※一旦書いてはみたものの、どっかの格好付けから物言いがついたので書き直しています。
18時~20時の間に読まれた方は、それとは別物になってます~。





「…………ああ、問題なさそうだな」
 パラパラと書類を捲りながら、中身をざっと確認するとアレクは頷いた。
 ぽんぽんと決済印を押していく上官の手元を眺めるロンは、どこかうずうずとした様子でそれを待っている。
「……何だ」
 視線が気になるのか、作業の手を止めてアレクが顔を上げた。
「いや、何でもないっすけど」
「そんだけじっと見といて何でもないって事はないだろう」
 わずかに声のトーンを変えて、アレクは言った。目の前の監察部副長が何を話題にしたいのかは分かっているつもりだが、こちらから話題を振ってやるつもりもない。
 個人的に、ロン・セイヤーズという人物のことは気に入っているし、信頼に足る人物だと思っているが、それとこれとは別問題だ。
 いやこの際、正直に言おう。こちらが気に掛けていることを知られるのは、何となく悔しい気がする。
「いやあ……指揮官はホワイトデーどうしたんかなーと」
 そわそわと落ち着かない様子で視線をさまよわせながら、ロンは言った。
 こういうのは、先に気に掛けてしまった方が負けのような気がするが、気になるものは気になるのだから仕方ない。

 先日、ロンは旧友の中山友香と休みを合わせて町歩きに出た。バレンタインのお返しとして、友香の好きな甘味を奢るためである。
 丸一日かけていくつかの店を回り、久々の休み――ロンにとってはデート――を堪能し、途中で見かけた髪飾りを贈ったりもして、なかなかに充実した一日だったわけだが。
「――知りたいか?」
 ロンの意図に気づいている顔で、挑発するように、アレクがにっと笑った。
「そりゃあ……まあ…………」
 目を逸らしつつ、ロンは唸った。
 正直、気まずい。だが、この恋敵はとにかく強敵なのだ。動向を知りたくなるのも仕方あるまい。

 立場も能力も。友香との距離や過ごした時間も。
 この上官には、どうにも勝てる気がしないのだ。

「リクエストに応じて夕食とデザートを自作したが?」
「うっわ、きったねえ……」
 直接、胃袋を掌握しにいったかと顔をしかめるロンに、アレクは素知らぬ顔で肩を竦めた。
「あいにく、お前と違って、丸一日外に出るような時間の余裕はなかったもんでな」
 言外に、ロンが友香と休みを合わせて出かけたことに当てつける上官の言葉に、なんだかんだ言いつつ、相手もこちらを気にしていることにロンは気づく。
「おかげさまで、ちゃんと休みもらえる職場ってありがたいっすよね」
 にやりと笑って返せば、ほんのわずかに嫌そうにアレクが眉を寄せる。
「……何で俺には休みがないんだろうな」
 小さな溜息と共に出てきたのは、この上官にしては珍しい言葉だ。
「働き過ぎなんじゃないっすか」
 引継を兼ねた準備期間を経て、正式に新体制に移行して1年あまり。まだまだ盤石とは言えない状況下で、最も責任ある地位にあるアレクの肩に掛かる負担は、自分には想像もできないほどのものだろうと分かる。
「なるほど。なら俺の仕事を半分副官に任せるか」
「……嫌がらせっすか」
 司令部副官であるアレン・ランブルは監察部の長官も兼任している。ロンにとっては直接の上官である。そのアレンが司令部の仕事に忙殺されるようになれば、監察部の仕事は副官であるロンと相棒のハルで回さなくてはならなくなる――というわけだ。
「これくらいかわいいもんだろ」
「結局、気にしてんじゃないすか」
 平気な顔をしているようで、結局は同じ穴の狢だ。
「……悔しいが、あの髪飾りは良かった」
「でっしょー。あれ見つけた俺偉くないっすか」
「調子に乗るな」
 若干嫌そうにアレクが唸る。
「まあ、多少はアドバンテージを持たせてやるさ」
「あれ、そんな調子こいてていいんすか」
 軽口を応酬しながら、アレクは再び書類に目を落とし、作業を再開する。
「あいつは胃袋優先だからな」
「それは確かに。てかあいつ、いつになったら恋愛回路開くんすか」
「お前には開かんかもな」
「言いましたね!? ぜっったいに先に開いてやりますからね、あとで文句言わないでくださいよ!!」
 上官だということも忘れて指を突きつけるロンに、「お前こそな」と返し、アレクはにやりと笑った。


 結局似たもの同士な2人。同い年なので。

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