この物語に時間を預けてくださり、ありがとうございます。
第一話は、皆既月食の夜。
第二話では、時間を遡り、男の喪失を辿る物語を描きました。
静かな回想の中で、
彼の中に終わらず残り続けているものを書いたつもりです。
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今夜3月3日は皆既月食でしたが、あいにくの空模様でしたね。
ここで少しだけ、月の話を。
科学の話は今はいらない、という方は、
そっとページを閉じていただいても大丈夫です。
第二話の最後、
午後の光の中でガラスに白い膜を落としていた月は、
上弦の月をイメージしています。
上弦の月は、少し前まで地球がそこにあった場所です。
(もう少し詳しく言うと約三時間半ほど前の地球の場所ですが、
ここでは軌道計算はやめておきましょう。)
だから私は、上弦の月を見上げるとき、少し前の時間を思い出すような感覚になります。
彼もまた、白い月を見ながら、
さっきまでそこにいたかのように彼女を思い出していたのかもしれません。
物語はもう少し続きます。
次話も、どうぞよろしくお願いします。
画像は、第一話の扉絵イメージです🌕