私、実はNHKのドキュメンタリー番組『プロジェクトX』が大好きなんですよ。特に、国井雅比古さんが司会をされていた初期の頃。
当時は色々と叩かれた部分もありましたが、私はあの番組を見て「よし、自分も明日から頑張ろう」と勇気をもらっていた一人です。
で、私は昔から設定厨な気がありまして、普段のニュースや風景を見ては「これ、異世界だったらどうなるだろう?」と妄想してしまいます。
例えば、プロジェクトXでは屈指の名作『黒四ダム』。
戦後復興の電力を支えるために、危険な山奥に命懸けで巨大ダムを築いた物語ですが、これを異世界に置き換えると――「魔法王国のマナ需要がひっ迫し、人跡未踏のダンジョンの最深部からマナを汲み上げるパイプラインを引く」なんて話になるんじゃね? そんなことばかり常日頃から考えてます。ちょっと……いや、かなり危ない人ですね。
「プロジェクトXを異世界で再現したら、どうなるか?」
概要欄にもある通り、1958年に沖縄の高校が初めて甲子園に出場したときの、プロジェクトXの放送回を妄想して生まれたのが本作『海のかなたの都大路』です。
野球の代わりに飛竜駅伝レースとして仕立てたのは、異世界の象徴であるドラゴンを、ただのモンスターではなく共に働く相棒(家族)として描きたかったからです。
本来なら汗臭い男たちだけの物語にするつもりでしたが、そこは私も少し日和りまして、チームに女の子も登場させました。
プロジェクトX文法に従った結果、あまりキャピキャピさせられませんでしたが、彼女たちなりのプロフェッショナルを描いたつもりです。
また、今回は番組の雰囲気を出すために、物語の前後にオープニングとエンディングの詩を挿入してみました。
もしよろしければ脳内で、物語は田口トモロヲさんのナレーション、詩は中島みゆきさんのメロディを再生しながら読んでいただければ幸いです。
今作はパイロット版ですが、今後は中編の連作として異世界の挑戦者たちを描いていければと考えています。
名もなき者たちの意地と、地上の星々の輝き。
もし少しでも心に引っかかるものがあれば、今後もお付き合いいただけると嬉しいです。