人生には必ず困難な時が訪れます。
自らが原因で招くこともあれば、
不可抗力や運命に導かれる場合もあります。
この物語は、主人公である『ベンタこと東弁太一(とうべんたかかず)』が中学に上がってすぐ、祖父の代から経営していた会社が大口の顧客を失い倒産してしまうという事態に襲われます。
ベンタの父は、従業員の再就職と借金の清算に奔走し、資産をすべて処分して何とか債務は残らずに済みましたが、心労がたたり脳梗塞で倒れて亡くなってしまいます。
もう一人の主人公、『分銅海斗(ぶんどうかいと)』は、三歳の時、2011年3月11日に起きた東日本大震災の大津波で、父と母を失います。
当時、山間にある祖父母の自宅に居た海斗と一歳だった妹の二人は、祖父母と共に津波の被害を免れて生き残り、震災の混乱の中、その後祖父母の手によって二人は育てらえます。
両親を失うという、自分の力ではどうする事も出来ない人生の困難に海斗と妹は遭遇します。
ベンタは和歌山、海斗は岩手県田野畑村。中学三年生になった二人。
中学の卒業と同時に人生の選択が迫り、それぞれが岐路に立たされます。
ベンタはバスケットボール、海斗は野球。
好きなスポーツを諦め、高校進学を断念し、プロボクサーを目指します。
自分の力で、自分の人生を切り開きたい。
十五歳の青年二人が、何故プロボクシングを選んだのか?
そして世界チャンピオンを目指したのか?
最終章まで読み終えた時、
そこにすべての答えが見えてきます。
それでは、現在公開されている、
【前編 】 『序章~第三章』に散りばめられた『エピソードの数々』を、
少しづつ紐解いていきます。スタートです。
おたのしみに・・・。
野﨑博之(のさきひろし)
