こんにちは、織部です。
近々、新シリーズ『あすなろ探偵事務所シリーズ』を公開する予定です。
公開前に、少しだけ中身をご紹介します。
ネタバレは控えめにしたので、安心して読んでください。
■ どんなお話?
舞台は群馬県高崎市、烏川沿いの古い木造二階建て。
浮気調査、人探し、遺品整理など、地域密着のよろず調査を請け負う「あすなろ探偵事務所」の、一話完結ミステリーです。
事務所の名は「明日は檜になろう」から。
挫折した人間が、もう一度やり直す物語です。
■ 事務所の面々
・柴崎 仁(42)…元刑事。聞き込みと荒事担当。口は悪いが、依頼人の涙に弱い
・楠 陽平(38)…元弁護士。軽薄な洒落者を装う推理担当。論理で人を追い詰める
・柊 千鶴(47)…穏やかな所長。二人の軽口は「はいはい」で受け流す
・日下部 葵(28)…元エンジニアの新人事務員。二人の生活態度に容赦なくツッコむ
■ 第一章『片目のだるま』
葵が入所して数週間。ある朝、カフェ「かるた」の店主の紹介で、一人の女性が事務所を訪ねてきます。
依頼人は、だるま職人だった父を亡くしたばかりの娘・ひより。
抱えていたのは、目が片方しか入っていないだるまでした。
頼まれたのは遺品整理。
けれど工房からは帳簿が一冊消え、「これだけは売らない」と言われていた大切なだるまも見当たりません。
父は娘に何を遺し、何を隠したのか。
片目のだるまが、もう片方の目を入れる日は来るのか。
■ 第二話『花嫁は、なぜ消えたか』
十二月。結婚式まで、あと三日。
居酒屋「花梨」の常連の紹介で現れた依頼人は、こう言います。
「五日前から、婚約者と連絡が取れないんです」
几帳面な彼女が、幸せの絶頂で、なぜ何も言わずに姿を消したのか。
浮気? 逃げた? それとも、逃げるしかなかった?
元刑事と元弁護士、正反対の二人が、珍しく同じ違和感を口にします。
■ ちょこっと見せ(第一章の冒頭より)
「昨日近所の子が、君の車を見て泣いてたって、葵ちゃんが」
「泣いてない」
「泣いてはいませんけど、固まってました。あと、回覧板届けに来てくれたおばあちゃんが、うちの駐車場を見て『あら、今日は組の集まりですか』って」
「組ってなんだ」
「そういうことです」
■ そして、事務所の壁のカレンダー
居間の壁のカレンダーには、鉛筆の小さな丸が一つ。
その下には何も書かれていません。
所長はときどきそれを眺め、二人は気づかないふりをします。
誰も口には出さない「あと二年」。
一話完結の軽さの奥で、この事務所には、全員が黙っている何かがあります。
■ こんな方におすすめ
・「相棒」のような一話完結の謎解きが好き
・『あぶない刑事』のような軽口の掛け合いが好き
・地方の街の空気や、ほろ苦い余韻が好き
高崎の街を舞台に、おじさん二人と、所長と、新人事務員が、小さな依頼から大きな事件へ。
ほろ苦くて、少しあたたかい物語です。
公開したら、ぜひ読みに来てください。