私は震える声で答えながら、暗くならないようにわざと明るい調子で話そうとした。
けれど声は上ずり、落ち着かないまま図書室の中を歩き回った。
沈黙が訪れたとき、不意に胸の奥がふわっと温かくなるのを感じた。
視線を落とすと、先生の手が私の胸元にそっと置かれていた。
「……ごめんね。こんな未熟な私だから、なんて声をかけたらいいのかわからなくて。」
その言葉とともに、私は先生の手の上に自分の手を重ねていた。
――あぁ、この人は、信じられるかもしれない。
そう思った瞬間、目から涙が溢れた。
教師なんて結局、気まぐれで弱い生徒に優しい顔をして、正義のヒーローぶりたいだけ。だから自分から弱者だと言えるこの教師はやはり違う。
ずっと探していた。「わかってくれる人」「信じられる人」。
その人が今、目の前にいる――そう思ったら、涙は止まらなかった。
「ごめんね。泣かせちゃって……」
先生はそう言ったけれど、私は顔を背けて、落ち着くまで泣き続けた。
帰る頃には涙は止まっていた。けれど胸の奥には、消えない熱が残っていた。
――その日から、私は本気で先生を好きになってしまった。
絶対に叶わないと知っていたのに。