拙作『前世は魔王でした、今世は女子高生やってました。』が三十万字を突破し、おおよそ書籍三冊分の分量となりました。ここまでお読みいただいた皆さまには、改めて深く感謝申し上げます!
本作では、ユーカ、悪魔、そして吸血鬼の三名が物語の主軸になっています。第Ⅰ編ではユーカ、第Ⅱ編では悪魔でしたね。
吸血鬼に関しては、第Ⅰ編では名前の登場に留まり、第Ⅱ編でも物語に本格的に介入するのは終盤だけでした。そのため、第Ⅲ編は、事実上「吸血鬼編」と言って差し支えない構成となっております。
さて、作中に散りばめた伏線のひとつに、「吸血鬼=史上最悪の魔王」であるという部分があります。第Ⅲ編では本人の口から語られますが、かなり序盤からこの答えは出ていました。
今回はその伏線のいくつかを取り上げ、簡潔に解説しておきたいと思います。
まず、ユーカの語りの中で、吸血鬼には魔導書の読み書き写しを趣味とする描写があります。本来、魔族は魔導書を必要としないため、その存在すら知らないのが通常です。では、何故吸血鬼は魔導書を知っているのでしょう?
——それは、吸血鬼が人間の世界に通じていたからです。この点については、第Ⅱ編の描写でも繰り返し示されています。
さらに、作中の早い段階で「吸血鬼は唯一、史上最悪の魔王に仕えていた」という語りがあります。しかし、同じく魔王に仕えていた四天王――紫龍の長やツキの父が、ほとんど魔王城を訪れず、形式的に仕えていただけで集落に留まっていたことは、第Ⅱ編で語った通りです。
四天王ですら近づけなかった魔王のもとに、なぜ吸血鬼だけが仕えていたのか。
——答えは単純で、吸血鬼こそが魔王そのものであったためです。
今一度読み返していただければ、より楽しんでいただけることと思います。
今後とも、物語の行く末を温かく見守っていただければ幸いです。