今回、「隣人転生」を執筆していて、かなり悩んだのが「どこまで脚本の形式に寄せるか」でした。
応募する以上、形式はきちんと守った方がいい。
しかし、ネットに公開して読んでもらうことを考えると、がっつり脚本形式ではどうしても読みにくくなる。
脚本としてきっちり書こうとすると、文章は簡潔な言い切りが中心になり、心の動きも小説のようにそのまま書くことはできません。
さらに、ト書きや柱が増えて、読み物としての面白さが薄れてしまう気がしました。
特に悩んだのが「柱」です。
柱とは、シーンが変わるときに場所や時間を示すもので、
〇居間・朝
のように、シーンの最初に書きます。
ただ、この作品では、柱を書くだけで大きなネタバレになってしまう箇所があるんです。
脚本としては書くべきなのかもしれません。
しかし、それを書いてしまったら、読んだ人が驚くはずの瞬間を、先にこちらから教えてしまうことになります。
それだけはどうしても避けたくて、あえて柱を書いていない箇所があります。
そして、もう一つ悩んだのがタイトルです。
もともとのタイトルは「隣のわたし」でした。
私はこのタイトルが気に入っていました。
物語を読むと分かる、二つの意味を込めていたからです。
できれば、このまま使いたかった。
でも同時に、「隣のわたし」というタイトルだけを見て、この作品を気にしてもらえるだろうか、とも思いました。
どれだけ気に入ったタイトルでも、まず読んでもらえなければ、その意味に気づいてもらうことすらできない。
そう考えて、かなり迷った末にネタバレを含む「隣人転生」へ変更しました。
形式をどこまで忠実にするか。
ネットで読んでもらうために、どこまで読みやすさを優先するか。
タイトルでどこまで内容を見せるか。
「隣人転生」は、そんなことを悩みながら形にした作品です。
読んでいただけると嬉しいです。