ウチは真田紅。
泉州の紅い女狐や。
喧嘩もする。魚も捌く。好きな相手には素直になれへん。
いや、正確に言うたら、好きな相手ほど怒鳴ってまう。
ほんま、損な性格しとるわ。ほっとけ。
そんなウチが、どうしても紹介せなアカン二人がおる。
ひとりは、舘翔子。
ヒグマも不良も理不尽も、まとめて拳で黙らせる最強女番長。
ウチと拳を交わし、魂をぶつけ合った、ただ一人の女や。
あいつは、アホみたいに強い。
食い意地も張っとる。
愛想もない。
言葉も足らん。
恋愛なんか、見てるこっちが頭抱えるくらい不器用や。
けどな。
あいつの拳は、嘘をつかへん。
あいつの沈黙は、逃げやない。
あいつの不器用さは、誰かを雑に扱うためのもんやない。
……まあ、そこが腹立つくらい格好ええんやけどな。
別に褒めてへんぞ。事実を言うただけや。
もうひとりは、家鋪京子。
音のない世界を生きる、黄金の天使みたいな女の子や。
声では語らへん。
けれど、眼差しと手話と体温だけで、人の魂の奥まで届いてしまう。
あの子は、弱そうに見えて、実はとんでもなく強い。
ショーコの隣に、普通の顔して座れる。
あの化け物みたいな不器用さも、孤独も、傷も、まとめて受け止めてしまう。
正直、ウチには真似できへん。
……悔しいけどな。
ショーコとキョーコ。
この二人は、ただの幼なじみやない。
魂の双子や。
近すぎるほど近い。
深すぎるほど深い。
せやのに、身体の距離は簡単には縮まらへん。
手を繋ぐだけで震える。
抱きしめるだけで怖くなる。
キスひとつで、世界の色が変わる。
この物語は、そんな二人が、急がず、焦らず、ひとつずつ愛を覚えていく話や。
派手な喧嘩も、世界を揺るがす大事件も、ここでは脇に置いとけ。
大事なんは、隣に座ること。
手を離さへんこと。
相手の沈黙を、ちゃんと待つこと。
そして、美味いもんを一緒に食うことや。
本編を知らんでも大丈夫や。
聾者の少女と、コミュ障の最強女番長。
幼なじみで、魂の双子で、恋人で。
けれど何より、不器用に、不器用に、それでもまっすぐ愛し合おうとする二人。
ちなみに言うとく。
ショーコの魂のバディはウチや。
そこだけは誰にも譲らへん。
せやけど、ショーコを愛してええのは、キョーコ。
あの子だけや。
……勘違いすんなよ。
ウチは別に、二人を祝福したいとか、そういう綺麗事を言うてるんやない。
ただ、認めざるを得んだけや。
あの二人は、離したらアカン。
そういう二人なんや。
ウチが保証したる。
これは、音より深く、言葉より熱い、体温で育てる愛の物語や。