私は統合地球宇宙軍〈United Earth Space Forces〉所属、マラリ小隊副隊長のカワチ軍曹である。
本記録は、我々が遂行した作戦行動の経過および所見を、時系列に沿って整理・公開するものである。
小隊長マラリ少尉は士官学校を卒業して間もない若き指揮官であり、実戦経験は少ないものの、任務遂行における冷静さと責任感は確かなものだ。彼の下には、兵科も経歴も異なる多様な隊員が集い、コロニーや外縁惑星における作戦を遂行してきた。ケレス7偵察任務は、その中でも特に重要な任務の一つである。
本稿は、公式報告書に記載されない現場の状況、そして実際に隊員たちが直面した事象についても、可能な限り正確に記録する方針で作成する。上層部によって一部情報が秘匿される可能性もあるが、ここに記すのはあくまで「カワチ軍曹の記録」である。
宇宙は広大かつ危険であり、想定外の事態が常に潜んでいる。我々が如何なる判断を下し、いかに行動したのか——その全てを後世に残すことが、この記録の目的である。
