• 二次創作

ネコマタ様生存ifシリーズ

老猫《ネコマタ様生存&セーシロ成立if》

注意
※これはセルフ三次創作です。
本編には到底書けないけど、気分屋的に我慢できないって時に書くシリーズとなっております。
気まぐれに更新します。(多分)

本編↓(読まなくても一番下のイラストだけでも見て内容察したらいいよ)



《お風呂》


 守護けものネコマタ。

 英雄シロと呼ばれた彼は、パーク中を巻き込んだ最後の激闘の末に間一髪勝利を掴み取り、無事生還を果たしていた。その後セントラル襲撃の汚名は晴れ、無事元の生活に戻る事もできた。
 
 妻との本当の別れを済ませた後、気持ちが落ち着いた頃にやっとセーバルとの宙に浮いたようなフワリと曖昧な関係にも決着を付けていた。彼が遺言のつもりで残した一人言の通り、お互いの大切な気持ちはそのまま大事に保持しながらお互いの隣をお互いに任せたのである。

 つまり恋人関係。
 遂に二人はそこに踏み込むことになった。

 と言っても急に大きく関係に変化が起きる訳ではない。二人にはハウスの子供達を見る仕事があるし、シロに至っては相も変わらず四神執行代行の仕事がある。 
 それに若い頃と違いあまりいい年齢の大人が子供達の前でベタベタとするのも良くないだろうとほぼ普段通りの二人の関係が続いていた。お互い先立ったパートナーの時とは違うので、落ち着いた恋人関係にしていこうとよく話した結果だ。

 が、そんなどこかまだフワリとした関係に、セーバルはやや悶々としたものを感じていた。己の心を誤魔化せなくなってきていた。

 気持ちが通じ合ったらもっとはっちゃけるのかなって思ってたけど、セーバルだけだったのかな…。

「ハァ…」

 またいつぞやのように小さく溜息を着く。深夜、彼女は窓の外から相変わらず一睡もできない彼が以前のように鍛錬に勤しんでいるのを見ていた。
 1つ違うのは、サーベルをベルに返してしまった今どこから調達しているのか新しいものを振り回していることだ。トンファーと呼ばれるものだ。

 その動きは、彼がその昔妻とリウキウに足繁く通っていた頃、守護けものシーサー姉妹に軽く習ったであろうリウキウ空手に彼なりのアレンジを加えたものだと思われる。型のようなものを反復して何度も繰り返している。既に何度目かの後なのか、まだ肌寒い時期だと言うのにかなり薄着である。

「何考えてるのか知らないけど、セーバルのこと放ってあんなこと続けて。恋人なら添い寝の1つでもしてよ?もぅ…」

 星の記憶を呼び覚ましてイタズラしてやろうか。

 などと、まるで子供のようなことを彼女は考えるが勿論行動には移さない。うっかり彼の妻の姿まで見えてしまったら流石にイタズラの範疇を超えてしまうからだ。彼女は以前図書館跡であったことを今でも申し訳なく思っていた。

「わかってるの?ねぇおバカさん?セーバルのことちゃんと見えてる?セーバルはシロのなんなの?」

 一人の夜って寂しいな。

 彼女が以前と違いハッキリとこんなことを言ったり思ったりするのは、想いを伝え合った後で彼に対する1つ1つのハードルが下がっているからだろう。もう好きであることを誤魔化す必要はないのだから。それはセーバルだけではない、シロもそう感じているはずである。

 やがて彼も気が済んだのか、上着を持って中に戻っていく。彼のモーニングルーティンである。と言っても眠らないのでモーニングも何もないが、彼は深夜のトレーニングが済むと必ず風呂に入る。守護けものネコマタが最も気を抜く唯一のリラックスタイムだ。

「型だけだと実戦になった時の実感が薄いんだよな、この時代の技術で仮想敵とか出せないんだろうか?ガーディアンのアレみたいに。随分昔に習ったきりだから動きもまだ雑だし、いっそシーサー様方のとこで習い直すか…」

 彼女の気など知らずに、彼は脱衣所に向かう最中つまらない一人言を言いながらつまらないことを考えていた。

「まぁ追々だな」

 が、以前と違いかなり気楽に考えているのは彼の肩の荷も少なくなった証拠である。彼がこうしていられるのは彼女、セーバルがいてくれるからだ。隣に気を許せる相手がいてくれるというのは彼に安心感を強く与えた。  

 彼が彼女の気も知らず真夜中にマイナーな武具を振り回している愚行に走るのは、妻以来の恋人という存在との距離感を測りかねているだけである。彼とて彼女のことが好きなことに変わりはない。ただ長く一人の女性を愛し続けたせいか少々言葉足らずで態度にも出しにくい。好きは好きだが、真っすぐ目を見て妻以外の相手にそう伝えるのがまだ恐ろしいのだろう。

「ちょうど頃合いだな」

 と、着くなり風呂が沸いたので彼は一度シャワーで汗を流すと、沸かしたての湯に体をゆっくりと沈めていく。

「あ″〜〜〜…」

 彼は通常の時間には風呂に入らない、皆が入っている間に家の中のことをしたり、子供達が上がれば髪を乾かしていたり、あるいは朝食の仕込みをしていたりするからだ。

 忙しく、そして眠らない彼には特権でトレーニング後の入浴を許可されている。
 そんな彼にとってこれほどリラックスできる時間はない。1日でこの時間だけは本当に何もしないし何も考えない。この時だけはネコマタでもシロでもユウキでもない、お湯である。彼自身が風呂である。
 気を抜くという言葉をこれほど体現しているのも彼くらいだろう。ONの時間が長い分OFFの時間が深い。

 なので。

「年寄りくさいよそれ」

「…!?」

 そんな彼に向かい、ここぞとばかりに彼女は声を掛けた。ガラリと浴室のドアを開けひょこっと頭だけを出して尋ねると、彼は大層驚いたのか肩まで浸かっていた体が跳ね上がり湯船を揺らす。ただし相変わらず無表情だ。

「びっくりした、起きてたの?」

「たまたま目が覚めたの、全然ビックリした顔してないし。ねぇシロ?」

「ん?」

 気まぐれに顔でも出したのだろうか?程度に彼は考えているが、無論彼女はそんな程度の覚悟でこんな時間にこんなところまでは来ていない。

「セーバルも入ろうかな?」

「っ!?」

 また、彼の肩が跳ね湯を波立たせた。まさか正気か?と彼女を見た。

「あ、ビックリした顔してる」

 珍しく彼の表情が動いた。それくらいには今回の彼女の発言には驚かされていた。
 アレクサンダーとの戦いから生還して以来、無表情だった彼の顔にもだんだんと表情が戻ってきている。が、そんな彼は思った。

 よく考えたら彼女はさっきも子供達を連れて入ってるし、わざわざまた髪を濡らすようなことをするはずがない。俺をからかいにきたんだろう。

 そう思うと、動揺するのをやめホッと小さく息を吐く。再度肩まで湯に浸かり彼女に言い返そうとした。

「まったく君はまた俺をからかっ…」

「お邪魔しまーす」 

「えぇっ!?はぁっ!?」

 本当に入ってくることあります?

 彼は酷く動揺した、まさに何の躊躇いもなくバスタオル一枚の彼女が浴室に突入してきたのだ。これは想定外だと彼はまたも湯船に大波を作り出す。そうして驚いて目を丸くしている彼に彼女が言った。

「ズルいよ毎日一人でお風呂入るなんて、子供達と入るとゆっくりできないからね。これは役得。はい下がって下がって?この時期まだ寒いんだから」

 そう言いながら彼女は広めの浴槽のうち離れた位置でも隣でもなく彼の懐にヒョイと座り込んだ。

「せ、セーバルちゃん?広いお風呂なんだからわざわざここに座らなくても」

 彼があたふたとしながらそう言うと彼女は振り向き小さく笑うと言った。

「可愛いねシロ、思春期みたいな顔しちゃって」

 それが余程彼の感情に訴えかけてくる行動だったのか、今の彼は100とうん十年ぶりの思春期の顔とやらをしているそうだ。やはり動揺している彼は目を逸らし答えた。

「ほっといてよ…」

「ふふっ」

 小悪魔的な笑みを浮かべながら彼にその身を預けグッと寄りかかると、思っていたよりも厚い胸板と広い肩幅に安心感を覚えていた。頼もしさと力強さを感じる戦いに身を置く者の体だ。
 だがいくら戦う男でもこの状況をなんとかできるかは怪しい、彼は落ち着かない様子で行き場を失った手をワナワナと動かしていた。

「シロ?」
 
 と、落ち着かない彼に彼女が尋ねる。目のやり場に困りあらぬ方を向きながら小さく「うん」と返事を返した。

「ここまでしても、やっぱり何も感じない?」 

 少し切なげに言う彼女の表情に彼は気付くことはできない、だがそれとなく意図は察したのであろう。彼は少し慌てた様子で答えた。

「いやその…なんていうか、怒るかな〜なんて…」

 こんな状態になっている時点で、何かしたところで怒るもなにもないことくらいは彼にもわかる。だが、現状無責任にしていいことは自分には無いと少々悶々とはしていた。
 そんな彼の態度に呆れたのか、彼女は先程の切なさを忘れいつもの調子で返す。

「あのねシロ?一緒にお風呂入って、わざわざ寄りかかって、ここまでしたのに今更触⁠られたくらいで怒るとでも思ってるの?少しは察してよ…」

「ごめん」

「もぉ変わんないなぁ〜また謝ってる」

 また怒らせただろうかと彼は少しバツの悪い気持ちになった。察していない訳ではない、そういうことではないのだがなにせ彼自身にも事情があるのだ。

「あ〜あ、セーバルってそんなに魅力ないのかなぁ〜?そうだよね〜もうおばあちゃんの歳だもんね〜…」

 こう言うと彼は慌てて訂正してくれるだろう。彼女は分かっててわざとらしくそう言っていた。実際おばあちゃんだなどと言うが、その張り艶のある肌は人間で言う十代や二十代のそれに匹敵する美しさだ。故に彼は慌ててそれを否定した。

「そんな、そんなことないよ?君は綺麗だ」

 その言葉、優しさを待っていたと言わんばかりに小さく微笑むと、彼女は彼の煮え切らない態度を畳み掛けていく。

「本当に?」

「結構ドキドキしてるのだけど、わからないかな?」

 じっと彼の体に意識を集中させると、確かに感じる心臓の鼓動が彼女の耳や前身にダイレクトに伝わってくる。それを確かめた彼女は勝負にでる。

「じゃあ、この手はこっちでしょう?」
 
 そう言って優しく彼の右手を取ると、そっと自分の胸にそれを押し当てた。

「ちょちょっとセーバルちゃんこんなこと…」

「いや?」

「いや…じゃないんだけど」

 バスタオル越しでもわかる温かく柔らかな感触が彼の掌いっぱいに満たされる。こんな風に女性に触れるのは彼にとって妻以外に初めての事だった。更に言えば、妻ではまず味わう事がなかったであろう手でも覆い尽くせぬほどのその果実。それに今まさに自分が触れ、鷲掴みまでしていることに彼は動揺を隠しきれなかった。

「こういうの、嫌い?」

「そんなことないけど…」

「じゃあ、どう?」

「なんかあの…お、大きいんだね?」

 そう、大きいのだ。
 どう足掻いても彼は妻と彼女の間にある明らかな格差を目の当たりにしてしまう。その手で比べて確かめてしまうことになる。それが罪悪感になって襲ってくるが、抵抗して離してしまおうとも思えない。 

 以前の彼であればそうしていたかもしれない、だが彼とて彼女が好きなのだ。好きな女性にここまでされて嬉しくもなんともないと言い切れる男がこの世にいるだろうか?

 いない、いるはずがない。
 
 彼の中の自問自答、罪悪感に反しゆっくりと沈んでいく五指。

 そんな風に自分の乳房を優しくも夢中になって揉んでいる彼の右手を見てはクスりと笑い楽しんでいる彼女。そんな彼が今どんな顔でそんなことをしているかはわからないだろう。否、見るまでもない。

 全て分かっていて彼女は言う。

「あ〜あ?こんなことしていっけないんだ〜?」

 抗えずにいる自分を否定も肯定もせず、彼は答える。

「君から始めたんじゃないか、またそうやって俺をからかって」

 嬉しかった。
 彼女からの大胆なアプローチも。
 戸惑いながらも受け入れてくれる彼も。


「あの、セーバルちゃんごめん…」 

「今更何を謝ってるの?」

「俺が君に手を出さないのは君に魅力がないからではないし、興味がないからとかでもないんだ。ただその…今の俺はこんなだから、ほら?最後までできないのが何か、無責任かなって… そうも思うしそれからその…君は素敵な子だと俺は思うよ?こうしているのも、心地良い…」

 彼はこんなことをしているが、男性的な部分が所謂機能不全である。だから彼女がいくら必死に女をアピールしたところで物理的に彼女と交わることが現状できない。いくらでも触れることは可能だが、その実本当の意味で体を重ねることは叶わない。

「わかってる」

 目を逸らしあらぬ方を向く彼を見ると、「今はいい、今は少しでも受け入れてくれたのが嬉しい」と言うように、愛おしそうにその赤く紅潮した頬を撫でる。

「セーバル達これから長いんだから、待てるよ?」

「ごめん、本当に…」

「あのねぇシロ?ごめんごめんって言う割には全然離そうとしないね?」

「や、だってこれは君が…」

 確かに触るように誘導したのは彼女の方なのだが、しっかり鷲掴みにし始めたのは彼のほうであり、彼女の言う様に申し訳ないと思うなら程々にしてやめればいいものを未だにその右手は彼女の胸を離すまいとホールドしていた。

「ん…もぉ…」 

「あ、ごめ…」 

「バカ、ほらもう終わり!背中流してあげるから!でるよ!」

「はい」

 今日の入浴ではリラックスはできなかったが、彼の心には確実に思い出として深く刻まれた。

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