そもそも、名探偵シャーロックホームズの助手、相棒、友人、同居人、ボスヴェル(まあ伝記作家という意味)といったらジョン・ワトソン氏しかいません。しかしどう検索しようが彼を主役にしたパロディーや挙句の果てには二次創作もそんなにはない!
…よく考えてみてください。別にホームズの物語を読んだことがない人でも大丈夫。
まず第一として、彼――ジョン・ワトソンは善人です。常識人であり、才能あふれるホームズとは対比して書かれているのが多いです。読者とともに驚き、読者とともにホームズの推理に感心するわけです。
しかし、しかしですよ!ある時、ホームズは、自らの宿敵、モリアーティー教授とともにスイスの滝へ落ち、死んでしまった…なんていうことが起きます。さて、その後、ワトソンの妻も亡くなってしまうのです。
待て待て・・・ワトソンくんきみ、儚くない?
俗な言葉で言うと「未亡人」「やもめ」です。なんて儚い!ふつくしい!そして何よりわかってほしいのが、ワトソンくん、ホームズの死から三年間、いったいなにをしていたのか記録がないんです。
えっ?えっ?あなた…喪失の三年間、なにしてたの!?
さてさて、そんなに興奮しないでください。いいですか?…ホームズがスイスの滝に落ちた、三年後の記録に、ワトソンはこんな感じのことを書いています。
「わたしはホームズ亡きあとも、彼の真似事をして、新聞の記事に乗っている事件などを順を追って推理するなど、自分を試すようなことを何度かした。けれどやはり彼のようにうまくいくことはなかった」
‥‥おいおい、ホームズ。君のボスヴェル、ずいぶんとまあ切なくなってるよ。。。。
‥‥ごほん。ここで私が言いたのはですね、ワトソン君は少なくとも喪失の三年間で、少しとは言えどもホームズの真似事やらをしたわけですよ。ここで、まあ、いろいろなところにも書いてある通り、ワトソン君はたしかに初期と比べれば、ホームズに影響されて推理力がついてきたよねということを思い出すわけです。
‥‥‥‥これ、ワトソンが主役の物語、いくらでも書けるよね、と。
可能性を感じましょう。そして、最後にある一つのことを考えてください。
ホームズ亡きあと、まあもちろん失意の中のワトソン。そんな中、彼はそれでも、ホームズがどうして死んでしまったのか、それはモリアーティー教授と戦ったからだ、と本を書きます。
さて、どうして彼はそのことを書いたのでしょう?
名探偵を誹謗中傷する奴らに抵抗するため‥‥です!
相手が亡くなってからも、相手のことを想っているワトソンて、よくないですか?
一人の男に、人生を狂わされている男って、よくないですか?
推理力(というかもともと医者なんだから頭はいいのだ)、がある男、よくないですか?
善人、優しく笑う茶髪、よくないですか?
感じるのです。。。ワトソンくんの可能性を。
そして沼るのです。。。ワトソンくんの儚さ、図太さ、愛情深さ、・・・・・・・すべてに!