映画『汝、星のごとく』
――今年度、私のNo.1作品。
一年前、小説『汝、星のごとく』を読んだ。
凪良ゆう原作。青埜櫂と井上暁海、二人の高校二年生から始まる愛の物語。
これまで読んだ数多くの小説の中でも、間違いなく私のベスト3に入る作品だった。
そして約半年前、映画化が決まったと知った。
待ちに待った今日、ついに封切り。
藤井道人監督。主演は横浜流星、広瀬すず。
監督も主演の二人も、私の大好きな推しの面々である。
風光明媚な瀬戸内の海を舞台に、互いの重い現実を背負いながら、それでも前に進もうとする二人。
しかし、物語は決して思い描いたようには進まない。
心の奥底にある真実と、自分を守るために繕う偽善。その狭間で揺れ動く人間の心が、痛いほど伝わってくる。
映画の前半は重く、苦しい。
映像も光を落としたように暗く、一つひとつの言葉を聞き逃すまいと、自然に画面へ引き込まれていく。
そして、物語は後半のクライマックスへ。
人を愛するとは、いったい何なのか。
瀬戸の海に浮かぶ宵の明星――「夕星(ゆうづつ)」。
二人の心は揺れ動き、愛の形もまた、切なく変わっていく。
とりわけ、終盤に描かれるある情景が、私の心を強く揺さぶった。
夜空に咲く花火。その美しさ。そして、そこに重なる二人の姿。
これ以上は書かないでおこう。
ただ、その場面の横浜流星の演技と、彼を見つめる広瀬すずの表情が、私の琴線に触れたことだけは伝えておきたい。
胸が締めつけられるような、息苦しいほどの愛おしさ。
儚くて、切なくて……。
涙が溢れ出したら、もう止まらなかった。
小説を読んだときも、映画を観たときも、心に響く場所は同じだった。
原作の感動を損なうことなく、映像だからこそ伝わる表情や沈黙、そして美しい風景が、
その感動をさらに深いものにしてくれた。
人を愛すること。
誰かと生きること。
そして、限りある時間の中で、本当に大切なものは何なのか。
観終えた今も、その問いが心の中に残っている。
まだ観ていない方には、どうか先入観を持たずに、この物語と出会ってほしい。
できれば、結末を知らずに。
小説も、映画も。
私にとって、今年度No.1の作品だった。
五條堀 薫