あの日、朝起きた時に見た光景は今でもよく思い出せる。
白い小さな丸い物体が割れた瓶と共にたくさん転がっていて、その先にはぴくりとも動かずうつ伏せに倒れ、重なった両親が居た。
もちろん動揺した。
近寄って触れた肌は既に冷たくて、動いてない心肺に「ああ、もう手遅れなんだ」と思った。
もっと早く気づけたはずなのに、と強い後悔の気持ちに苛まれていた時、ふと気づいた。
どこか、安心している自分の存在を。
両親はとても良い人だった。誰に対しても親切で、いつも愚痴ひとつこぼさずに頑張ってた。どれだけ辛くても私にさえ八つ当たりなどしなかった。
死ぬべき人じゃなかったはずなのに、感謝しているのに、自分は両親の死に対して安堵している。
何故?
答えは本当は分かりきっていた。
《《偽物》》の両親をどうしても受け入れられなかったのだ。
自分の母はあの人だけだと、弟との繋がりがあの人の娘であることだけだからと
心が強く決めつけていて。
そんな自分が憎らしかった。
自分の汚さを見せつけられた気分だった。
目を開けると白い天井。
ああ。もう忘れてしまえれば良いのに。