【風原Side】 ~流君をスカウトする前~直前~
僕はヴィクセントの社長。今はそのヴィクセントを立ち上げた一人、栗空茂のいつもの子供自慢(今日は三人目)を聞いていた。
「流はなぁ、とっても可愛いんだよ。妻も凛も美波も拓馬も可愛いと思うんだが、流はこの世に存在しているのか、ってびっくりするほど天使なんだ!声も可愛いし、性格も最高!まさしく天使だ!本人はかっこよくなりたいって言ってるんだが……もう、17歳だし、成長期は来ないと思うんだよな……流は美容用品を使ったりしてるんだが……」
「いや、美容用品使ったらもっと可愛くなるんじゃないか?」
「そうなんだよなぁ……そのことを言おうと思ってるんだが……一生懸命頑張っていてどうしても言いたくなくなるんだよ……それにてんね(ry)」
毎日毎日、子供自慢を聞かされていると、その子に興味がわいてくるんだよな……。実際、他の兄弟は全員会って話して、ヴィクセントに入ってもらったし……。特に三人目が……流という人が本当に気になるんだが……。茂は流だけは駄目だって言って譲らないんだよな。
そして僕は茂が飽きるまで子供自慢を聞いていた。
次の日。
僕は事務所に行こうと駅前を歩いていた。すると、アイドル並みのオーラを放った美少女が牛乳や野菜などが入った袋を手から下げて歩いていた。
その子は茂が言っていた子と全く同じ容姿をしていた。気が付くと僕はその子の方へ歩き声をかけていた。
その日を境にヴィクセントが、ヴィクセントのライバーがあんなに成長するなんて思いもせずに。