500PVありがとうございます。
読んでくださった皆さま、本当にありがとうございます。
感謝の気持ちを込めて、本編第8話直前の唯菜視点SSを置いておきます。
本編では見えなかった、十八時半の少し前のお話です。
500PV記念SS 隣の姫は、二分前から待っている
十八時二十分。
姫乃唯菜は、テーブルの上に置いたスマホを手に取った。
予定まで、あと十分。
画面を消し、伏せて置く。配信準備を始めるには中途半端で、別の作業へ戻るにも短い。
唯菜は椅子へ座り直した。
数分後、またスマホへ手が伸びる。
まだ、十八時半にはなっていない。
予定表を開く。
十八時半。
通知設定あり。
件名欄は、空白のまま。
指が入力欄の近くで止まった。
食事。
配信前。
試験運用。
どれもしっくりこない。
唯菜は何も入力せず、予定表を閉じた。
十八時二十五分。
椅子から立ち上がり、パーカーの裾を整える。
髪へ触れてから、スマホを持つ。
玄関まで歩き、靴へ足を入れた。
ドアノブへ手を掛ける。
そのまま、動きが止まった。
隣の部屋までは、数歩しかない。
五分前に行くのは、早すぎる気がする。
唯菜はドアノブから手を離した。
玄関に立ったまま、スマホを見る。
十八時二十六分。
画面を消す。
もう一度点ける。
十八時二十七分。
一分しか進んでいない。
唯菜はスマホを握り直した。
表示が変わる。
十八時二十八分。
二分前。
遅刻ではない。
早すぎる時間でもない。
問題はない。
唯菜は息を吐き、玄関の扉を開けた。
廊下へ出る。
隣室の前へ立ち、インターホンを押す。
ほどなくして、ドアが開いた。
野村が時計を見る。
「まだ、十八時半前ですけど」
唯菜もスマホへ目を落とす。
「二分前です」
「それは見れば分かります」
唯菜は一拍置いた。
「遅れるよりはいいと思います」