とめどない言葉の洪水が容赦なく抉り出すものは

少年らの起こした猟奇殺人事件の、主に加害者の周囲の人間たちが赤裸々に語ることばが洪水のように読み手を襲う。まるでそれぞれの息づかいが聞こえてくるような錯覚に陥る。表現がくどくてたたみかけるようなイメージが、まさに『語られた』言葉という体裁でこちらの心を抉っていく。インタビュアーの正体と真の目的が微妙に隠されながら、インタビュイーの数が増すごとに犯罪の、そして加害少年の過去や未来のみならず、それぞれの生きざまも醜く晒されていく点が見事。戯曲にして観てみたいという気がする。特に声で聴いてみたい。

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