第25話

「――お姉……ちゃん……」


 自分のつぶやく声で目が覚めた。


「もしもし? あんたいつまで寝てるのよ。うちの子のランドセルの色なんだけど――」


 ――夢……だったのか

 私は夢の中で夢を見ていたのか

 すべては長い夢でしかなかったのか


「もしもし? 聞いてるの?」

 いつもの明るい姉の声に、だんだんと頭がはっきりしてくる。

 長い夢を見ていた私は、どうやら眠ったまま無意識のうちに、呼び出し音の鳴る携帯に出たようだ。

 私は長い悪夢から目を覚ましたのだ。


 みんな――生きている……


 その喜びで胸がいっぱいになる。

 泣いていることを気付かれないように、わざと明るく答える。

「うん。聞こえてるよ。お母さんは?」

 しかし、夢のおわりを知らせてくれたこの電話は、束の間の喜びでしかなかった。

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