出会い

第17話

 また誰かが死ぬ夢を見てしまったら――そう思うと眠るのが怖くなった。

 ぎりぎりまで起きていて、限界がきたら気を失うように眠る。そうすれば眠りが深く、夢を見ることも少ない。たとえ見ていたとしても、覚えていなかった。

 丸二日起きて三日目の夕方から眠る。そんなペースにも次第に慣れてきた。

 あれから身の回りも落ち着き、仕事にも復帰した。

 私にあまり元気がないのは寝不足からではなく、相次いで身近な人を亡くした悲しみからだろうと、みんな思っているようだ。

 お昼過ぎになって、「今日いつものメンバーで飲むんだけど、久しぶりにどうかな?」と、母の遺体を見つけたとき私を会社まで運んでくれた中川が声をかけてきた。

「そうね……」

 私と中川は同期入社で、姉が死ぬまでは月に一回は同期やそれぞれの友達を呼んで、飲み会を行っていた。

 しかし、昨日まで丸二日起きていたので、今日は眠る予定の日だったが、思ったほど眠くない。たまには賑やかな場所もいいかと思い、「じゃ、ちょっとだけ付き合うわ」と答えた。

「そうこなくっちゃ。それじゃ午後七時にいつもの店で」

「了解」

 私は少しだけ、気分が明るくなるのを感じた。

 仕事を終えて一度帰り、着替えていつものお店へ向かう。約束の時間より少し早く着いた私は、案内されて席に着いた。

 すでに来ていた何人かの知った顔の中に、不思議な感じの人を見つけた。


 たぶん会社の人じゃない

 会ったことあるような、初対面のような……

 でも、なんだかひどく懐かしい感じのする人

 誰だっけ


 その男性は、私の右斜め前の席に座っていた。

 すぐに全員が揃ったようで、飲み物を頼み乾杯した。

 なんだか首の後ろが痛かった。


 寝不足だからかな……


 その感覚を私は忘れていた。何かが起こる前に決まって感じていた、あの首の後ろの痛みのことを。

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