陰謀渦巻く海上都市で少年が手にしたのは、謎多き魔法「理想写し」

 舞台と設定が素晴らしいと思います。

 日本本土の統治を逃れ、独自のルール・文化・技術を築いた海上都市。そこには特殊な自警組織や教育機関、政治の在り方が存在し――巨大な陰謀の影も見え隠れする――そうした一つの「国」を書けている時点で評価に値すると思いました。また、ネタバレになりますが、魔獣の住む異界に自ら入っていこうとする場面は、冒険小説的な面白さを感じました。

 そしてまた、私が面白いと感じたのは作中人物が手にした「魔法」です。
 すごく個人的な趣向ですが、異能力バトルものにおいて、私は「ある一定のルールに基づいて発動する能力」を読むのが好きです。能力に相性があって勝敗が左右されたり、能力が意外な形で応用されたり、主人公自身把握できていなかった能力を解析し、新たな側面を見出したり――ただの力でごりおすのではない、異能を用いた戦略を描写を見ると胸が熱くなります。漫画でしか例を挙げられなくて申し訳ないですが『HUNTER×HUNTER』とかが好きですね。
 その私の目から見て、「理想写し」は非常に興味深い能力に感じました。まだまだ隠された側面があり、応用の余地も広そうに思えます。

 まだ連載中とのことですので、期待を込めて星2にしておきます。

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