魔術師アテナの事件簿

　僕はアテナ——というらしい。
　普段は郊外にある森の小屋の中で古書の解読をしながら細々と暮らしているのだが、そんな僕の元に、ある日、自治警察の使いの者がやってきた。
　彼が言うには、どうやら昨晩、街で魔術による殺人事件があり、魔術師である僕に参考人として話を聞きたいということらしい。
　まあ別にかまわないけど——と思って何とはなしに事件に巻き込まれていく僕だが、取調の後、もう一人の参考人という魔術師の女性を見かけた瞬間、運命の歯車が動きはじめる予感を感じた。
　一度見かけたら忘れるはずもないとんでもない美人の女性。だから、もちろん初めてみる人——と、思っていた。しかし、気がつくと僕はその女性の名前を呟いていた。

　僕はこの女性を知っている——？

　こうして、僕と謎の女性と、そして失われ…続きを読む