四話 ミッションクリア
side 高崎日向
来たる木曜日、
「さて、諸君ら。もちろん、青春してきたな?」
部長は例の如く取った様子で、問いかけてきた。
「もちろんです。そんな難しいものでも無かったので」
「わ、私たちも、大丈夫です。そ、そうで・・・そうだよね?」
「・・・・・・・」
「え、えっと、紗良ちゃん?」
ふむ、ずいぶん打ち解けたようだな。
「・・・・・ん?あ、そうだよー。私たち、昨日の帰りにサタバ寄ったんだー。そう言う、広香ちゃんはどうなの?・・・あ。えっと、ごめんね?」
まあ、部長に関しては予想通り。
「ぼっちじゃないから!違うから、アタシにも友達ぐらいいるから!」
「えー?何人?」
「ひ、一人・・・くらい?いや待て、アタシは選り好みしてるだけであってぼっちじゃないから友達作れるから!おい、アタシは知ってるぞ。その目は哀れみの目だ」
うん。予想通り可哀想だ。
「そ、そういえば、紗良ちゃん。だ、大丈夫?き、今日はなんか、上の空だけど」
「そんなことないよー。ちょっと、探し物をしてるだけだから。先輩、ここでペンケース見てないですかー?」
ペンケース?俺は周囲を探し、違和感に気づいた。とりあえずは、机の下に潜って無様を晒している、自称乙女に声を掛ける。
「部長、一つ聞いてもいいですか?」
「ん?アタシは今忙しいのだが。言ってみろ」
「他の部員たちはどうしたのですか?今日は、先週みたいな急な集まりじゃないですよね」
部長の頬に一筋の汗が流れる。
「・・・・・・誰も来なくなっちった。あっははー」
部長の顔は青かった。もちろん俺たちの顔も青い。
何故なら、
「どうするんですか部長。これだけの人数じゃ部ではいられませんよ」
「部じゃなくなっちゃったらー、部費で本も買えなくなっちゃうんでしょー」
「部室も、な、なくなるって、聞きました」
そう、この学校において少数の集まりは同好会として認められるが、同好会には部室も部費も与えられないのだ。
「何か活動しないと、やばくないですか」
「んー、まあ一応、色々考えているし、まとまったら言うわ。それまで先送りで。あと、なんか提案があれば受け付けるぞ」
部長はいざという時しか決まらない人だし、大丈夫か。
「ああ、そうだ。次回までのミッションだが、このメンツでテスト勉強をしよう。定期試験も近いことだし、と言うか近過ぎるくらいだから早速明日から始める、ということでいいな?」
「わかりました。あ、そういえばですね・・・・
side 茅菜紗良
先輩たちが雑談を始めたので私は帰ることにした。いつもなら参加するところだけど、今は一人で考えたいことがあるから。
電車に揺られながら考えを進める。数日前から、友達がよそよそしくなった。特に私の親友、佐藤小鳥ちゃんは明らかに様子がおかしくなった。どうしたんだろう?明日、話してみれば解決するといいな。
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