第11話 新たな被害者 哀れなゴム人形の末路

それから数時間後。

ここはマリンの書斎。

もう夜中ということもあり、マリンもさすがに仕事はしていないようだ。

しかし部屋の照明はつけっぱなしになっていた。


「ふぅ…ふぅ…」


ギチッ…ギチッ…


誰もいないはずの部屋なのに誰かが息をし、ゴムがこすれるような音がする。

部屋の中を見渡す…なんとあの変態ゴム人形がまたパッケージに拘束されているではないか。


しかし妙だ。

リックの潜入の仕事は終わったし、あの後すぐにソラと一緒に家に帰った。

それにリックよりも明らかに身長が低いし、股間のふくらみもない。

誰が入っているのだろうか?


ヴィィィィィィン!


「うぐぅ!んんぅ!ふぅ…ふぅ…んん!」


ギッ!ギッ!ギチ!


ゴム人形の股間から振動音がする。

人形は暴れるが、ワイヤーに首、腰、手首、足首を拘束されてパッケージから出ることはできない。


「むぅむ…むぅむぅ!むぐぅ!」


人形は大きいお尻をビクビクさせ、首を横に振る。

しかし股間の振動は止まらない。


人形の動きが次第に激しくなる…そして


「うぐぅぅぅ!!!」


人形は大きな唸り声をあげて体をビクン!と大きく痙攣させる。

その後、股間の振動音は止まり、人形は体を小刻みにビクつかせていた。


「ふぅ…ふぅ…んぐぅ…むぅむぅ…」


人形は体を痙攣させながらまた首を横に振る。

パッケージの周りには4台のカメラが置かれており、そのカメラに向かって何かをうったえているようにも見える。


ヴィィィィィィン!


「いぐ!うぐっ…むぅむぅ!」


また股間が振動し始めた。

人形はムチムチの太ももをパッケージにビチビチ打ち付け、腰をできる限りひねって大きな胸をブルンブルン揺らす。

しかし振動は止まらない。


「むぐぅぅぅぅ!!」


こんな屈辱的な姿をきっとカメラは撮影しているのだろう。

結局この日、人形は眠らせてもらえなかった。



誰がゴム人形の中に入れられているのか?

一体これは何のために撮影されているのか?

知る由はない。


この人形の所有者と、哀れなゴム人形の中の人物を除いて。



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ラバードールオークション ゴム人形に女装して潜入する探偵 MenRyanpeta @MenRyanpeta

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