夢の中から

 眠りに落ちるこの瞬間は格別だ。柔らかな痺れが全身に広がりゆっくりと意識が落ちていく。耳元で囁かれる。起きて貴方。貴方。ああやはり夢は良い。亡き妻の愛しい声を聞く事すら叶うのだから。起きて貴方、

「死にますよ」

 ざわりと総毛立って飛び起きた。反射的に枕元の剣を取り、闇で煌めく一閃を受け止める。忌々しそうな舌打ち。

「起きていたとはな」

 至近距離で睨み合う。

「悪いがまだ死ねないんだ。俺の女神に叱られるんでね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る