裏8項 ループ3回目の純潔メイド


 目を開ける。

 すると、いつもの神殿だった。


 あっ、そうか。

 ルーク様がループするタイミングでわたしも戻るのね。


 神殿では……。


 ウルズさまがお友達と、シートを敷いて酒盛りをしていた。缶チューハイ(?)にサキイカ、焼きイカまである。


 こちらに気づいて、急いで片付けているようだ。


 いつもながらにごめんね。

 悪魔側のタイミングで突然戻ってくるからね。

 女神様にも予定とかあるよね。きっと。


 女神様は片付けがひと段落ついて、埃を払う仕草をすると、駆けていつもの場所に移動する。

 

 そんなに急がなくても大丈夫。

 わたしはいつまでも待つよ。


 「コホン……。こちらが豊穣の女神レイアです」


 すると、続いて駆けてきたお友達の女神様が挨拶をしてくれる。


 「メイよ。わたしがアヴェルラーク3女神が1柱、豊穣の女神レイアです……。貴女にお会いするのは初めてでふ……ゴホッ、……ですね」


 はじめまして、女神レイアさま。

 初対面はかなり微妙だけれど。

 

 でも、大丈夫。

 お口のイカがなくなるまでワタシは待ちます。


 山の恵じゃなくて、海産物のイカを食べていたことは内緒にしておくよ。



 今回はレイア様が相手をしてくれるようだ。


 「前回は不在ですみません。女神組合の慰安旅……、神々の祭典にて、こちらにこれなかったのです」


 あぁ。めっちゃ自由な職場環境なのですね。わたしのさっきの謝罪を返して欲しいです。

 


 「前回のループはどうでしたか?」


 「女神様がくれた『毒舌』のスキルで、ひどいことを言ってしまいました」

 

 「そうですか。可哀想なメイ……」


 ……おい!

 お前らのせいだろう!!


 いけない、毒を吐いてしまった。

 ルーク様の悪影響かしら?


 よく、アホと居るとアホがうつるって言うものね。


 アホ、いや、女神さまは続けた。


 「ふむ。。『毒舌』は天国ではリコール対象の余っている特性ですしね」


 おーい。

 この女神様ちぇんじでおねがいしまーす。


 「貴女は見えすぎなのです。先が見通せるから幸せになるとは限らない。千里眼は、強く自己犠牲を要求する力です。そして、人生は先が分からないから面白い」


 「それは、先を見通す千里眼がいけないということですか?」


 「そうです。少なくとも決意なく持つ力ではありません。貴女が貴女の意思で聖女の儀をうけるまで、その力は返してもらいます。その代わり『大胆さ』を授けましょう。思いをきちんと伝えて悪魔側の思惑に抗うのです。彼女らは、次は、彼を貴女が亡くなった日の朝に戻すことでしょう。さぁ、これは聖戦です。わたしの愛しい使徒よ。現世に旅立ちなさい」


 大胆って、どう使うの……。

 女神様が、またまた要らなそうなものくれました。


 次のループで3回目か。

 次はラストチャンス。気合いを入れねば。


 「ところで、神との約束は、誰にも言っちゃダメですよ。もし、漏らしたら……貴女はし……」


 え?

 なに?


 「し」ってなに?


 死ぬのし?


 えーっ!?


 大切なところが聞こえないよ。こんな重要そうなことを別れ際に話さないで〜。


 そして、女神様って内容的には、実は悪魔と大差ないことを言ってる気がする。


 ……わたしの意識は暗転した。




★今回のお話しの表側★

「第8項 ループ三周目のゴミカス」

https://kakuyomu.jp/works/16818093075519809159/episodes/16818093075520585473

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