第11話 内乱

 内乱が始まった。

 帝国内は二つの陣営に分かれた。


 一方は既得権益を持つ名門貴族派。

 もう一方は、俺の属する宰相・ローエングリン侯爵派だ。


 宰相・ローエングリン侯爵派は、皇帝と帝都を抑え着々と攻略を進めている。


 まず、名門貴族派を『賊徒』と呼び、名門貴族派貴族のプライドを傷つけると同時に、平民に『自分たちが正義』とアピールした。

 宰相・ローエングリン侯爵派は、着実にポイントをリードする。


 俺は自分の船団を率いて、物資の輸送に大忙しだ。

 何せ帝国中の戦闘艦が動いているのだ。


 宰相・ローエングリン侯爵派だけで、八個艦隊が作戦行動に出ている。

 後方の補給任務は大忙しだ。

 多岐に渡る物資の調達、保管、輸送。


 オマケに士官や兵士からのリクエストやクレームが上がってくる。


『ワインが足りない』

『ソーセージの味がイマイチ』

『故郷のザワークラウトが食べたい』


 フェルマー少佐から相談を受けたが、そんなことは知らん!

 まあ、食事は兵士の士気に直結するからな。

 なるたけ良い食材を調達しましょうとしか言いようがない。


 後は、艦隊付きコックの腕前に任せるまでだ。


 故郷にも一度帰って、大量の食料を輸送した。

 食料が高く売れるので、親父はホクホク顔だ。

 農業惑星は、こういう時に強い。


 さて、内乱は半年が経過して、名門貴族派はジリジリと戦力を削られた。

 名門貴族派は逆転を企図し、コンドール要塞を拠点に艦隊決戦を挑んできた。


 この艦隊決戦に勝てば、名門貴族派が拠点にするコンドール要塞が陥落し内乱が終る。


 フェルマー少佐も『美味しいザワークラウトを調達する』という重大任務から解放されるわけだ。


 宰相・ローエングリン侯爵派の艦隊と名門貴族派の艦隊は、コンドール要塞から一光年離れた宙域で対峙した。

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