第34話 勢いで言った後悔はないよ。
「血糊パンツに惚れるのは変態だよな。誰のパンツなんだ?」
私は一瞬で理解を示し、ブルリと震えてしまった。
「どうかしたか?」
「今日は寒いね?」
「そうだな。雨が降るから寒くはあるか。副会長もクシャミしていたしな」
「そうなんだ。
「委員長、空気は読もうな」
「えーっ! いいじゃん!」
言葉を濁したが
あの件はまだ語っていないのだけど事が事だけに恥ずかしくて出来ないんだよね。
すると何を思ったのか
「今、血糊って言っていたけどそれって血染めのパンツですよね?」
「そうなるか? というか
「興味あるというか経験がある的な」
あー! ここにも経験者が居たぁ!?
「そもそも女子は経験があると思うよ?」
「女子は経験が・・・あ、そうか。そういう意味か! ガチの変態やんけ。あのクズ」
「どういうこと?」
それは『気になる女子の血糊パンツは絶対に忘れない』だった。キモっ!
聞いた瞬間、吐き気がしたよね。それをデカデカと裏サイトに書くって頭おかしい。
「裏サイトの一番目にそんな言葉が? キモいですね。冗談抜きで」
「忘れないための書き込みなんだろうが、見られた相手は酷でしかないな」
ここまでの事になったなら言うしかないよね。
あまりにも寒すぎて温めて欲しくなったし。
「
「「は?」」
きょとんの
事の経緯を小声で伝えると、
「
「本気でキモいですね。死ねばいいのに」
「次会ったら冗談抜きで再起不能にしてやる。間男死すべし慈悲はない」
「その時は私も協力しますね。報復もまだ出来ていませんし」
「だな。こうなったらかつて暴行を受けた
「え? 受けていたんです?」
「いやぁ。
「あらら。それはなんていうか」
これは同情なのか呆れなのか。
「頭は良くても色々と残念な人だったんですね。
「
「キレると
「ああ。怒らせたらダメな部類かぁ。なら、あまり感じる云々で」
「揶揄うのは止めた方がいいな。少し距離を置く方がいいか?」
「そうだね。触れてビクンビクンさせるのも悪いし」
「そう言いつつネタにするの止めてくれません?」
「「すみませんでした!」」
「あと距離は置かなくていいですから。折角の役員なのに」
これは私に対しての一言だよね。
(しかしまぁ私に対する執着が小四のパンツとは)
揶揄ってきた事も執着を維持するためだとしたら本気でキモいね。
すると
「そうでした。立て替えてもらっていた制服代。支払いますね」
そういえばボロボロにされて下着諸共捨てたんだよね。
着替えが一着しかないのは不都合が生じるので、資金が潤沢な
私の場合は胸囲が合わなくなったから買い換えただけだけど。
「そんな、急がなくてもよかったのに」
「いえ。こういう貸し借りは早めが良いので」
「そうか。それなら受け取っておくわ」
「
「
「そう? 分かった」
そういえば食費を支払っていたね。だから不要と。
「そもそもの話、共有財産だし」
「それもあったね。忘れてたよ」
「共有財産?」
「俺達の関係を思い出せば分かるよ」
「ああ! それでですか。なるほど」
更に付け加えると
あとは婚約の件を自己判断で公開して良いことにもなった。
そうすれば人目を憚ることなく、イチャつけるので待ち遠しい私だった。
但し、公開までの道のりは険しいけどね。
「おい、あれ?」
「なんで抱き寄せてるんだよ」
「羨ましい。付き合っていないのに」
「ケッ。彼氏じゃないのに、彼氏面かよ?」
「つか、両手に花とか羨ましい!」
「どっちが本命なんだ? 巨乳か美乳か?」
「これは一度、伸すか?」
「おう。これは伸さねば」
自己判断で公開して良いことになっていても、道のりは大変険しいものになるね。
「本命は
「私は当面、彼以外に触れられたくないですよ」
「女子の都合などお構いなしだから嫌われるのにね」
「胸への視線に気づけないと思ったら大間違いです」
「ところで
「そうでした。忘れていました。買ってきます」
「時間はまだあるかな?」
「ギリギリな気もするが」
「
「小柄なのに何処に入って何処に付いているのやら」
「そこは普通におっぱいじゃない?」
「やはりそこか」
あの一件から仲良くなった
男性に対して忌避感を持っているからか、特定の男子以外とは関わっていないらしい。
その特定の男子とは
「あれを育てたのはやはり?」
「E組の
「だよな。幼馴染と言いつつ実際は交際中と」
「純潔と言いつつ本当は開通済みで妹にも明かしていないと」
「立場上、関係を明かすと様々なリスクもあるからな」
「だよね。そうじゃないとあそこまで胸は育たないし」
名前から女の子かなと思ったらガチムチの男子だった。
所属はバスケ部。
噂は最初から信じていなかったが空気を読んで関係を隠していたらしい。
彼も私と似たり寄ったりな付き合い方をしていたようだ。
「横恋慕で開発されたのは可哀想だよね。どちらにとっても」
「そういや先日
「あらら。教えたんだ」
「俺が生徒会入りしたからな。練習くらいしか付き合えないって言った時に思い出して教えたんだ。彼氏である以上は知っておく必要があるだろ?」
「そうだったんだ。
「意外と犯人の名は伏せて話していそうな気もする」
「どうだろう? 話すかな?」
「いや、
「そ、それって?」
「犯人が誰か分かったからだろ。元々苛立ちとかはあったみたいだ。守ってやりたいけど部活があるだろ?」
「なるほど。バスケ部と生徒会。ある意味で相容れない関係だもんね」
「時に敵対するしな。生徒会室に行って何か用かと問われる事と
「それを聞くと交際関係もバレていそうな気がするね」
「いや、バレていたかもしれないな」
極力女子と思わずが正しいかな。配慮するときは配慮するし。
それがどういう訳か
この好感度は異性的な意味ではなく同年代の友達としての意味である。
そうでなければ敏感な話題で軽く注意するだけなんて有り得ないよね。
ある意味、私とセットで見ている感もあるけれど。
「それで
「いつも通り昼練だろ。第二体育館で」
「大変だね。部活動に入っている人は」
「昨年度まで助っ人だった
「そう? 今年度から助っ人に入っていないよ?」
「そういえばそうだな。やはり俺との時間を大切にしたいから?」
「もちろん!」
昨年度はストレス解消の意味合いで参戦していただけだ。
今年度は
それに今月からは生徒会活動もあるしお願いは全て断っている。
単に生徒会入りしたら中立であらねばならないので関われないだけね。
それが先に話したリスクの一つでもあるのだ。
「俺達の場合はどうだろうな」
「同じ生徒会役員でもあるからね」
「そうなると、あの件が片付くまでか?」
「それとも・・・」
そう、遠い目をしつつ語っていると、
「少しいいか?」
私達の背後にて多くの男子が血走った目で
「何か用か?」
「いつまで
「そうだそうだ!」
「離してやれよ! 可哀想だろ!」
「可哀想だろ!」
えっと? 何様かな? この人達。
よく見れば先輩も居て有り得ない言葉を発した。
「本当の彼氏は裏サイトの管理人だと聞いたんだが?」
「はぁ?」
これはどういうことかな?
私はあまりの一言に低い声が出ていた自分に驚いた。
「地雷を自ら踏み抜く先輩乙」
「地雷?」
それと同時にキレたよね。
「何を言ったのか分からなかったのだけど。猿人語で語るならあの世で好きなだけ語ってくれば。ほら、そこの屋上から飛び降りてアイキャンフライしてきたら? というか目障りだから直ぐに死んできて」
「
「最高にもなるって。管理人って捕まった
「
「いや、そう書かれていただけで」
「じゃあ、書かれていた事を思考停止で鵜呑みしたのかよ?」
「うっ」
「この際だからハッキリ言うけど女心の代弁者みたいな真似はしないでね。見ていてキモいから。私は私の事を本気で心配してくれる婚約者以外と付き合う気なんて更々ないから。大体、アンタ達の行動そのものが女子の好感度を下げているって事に気づけないの?」
「し、しかし、婚約者以外の男が」
「それが? 彼が私の婚約者ですが、何か?」
「え?」
そんなきょとんとしなくても。
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