第23話 復讐の勇者!その1

第23話 復讐の勇者!その1


 チキショー!ギャー!

 駆けつけた騎士や、教会関係者によって、ガキキキキキキ!と、無理矢理首を元にひねり戻されて、ヒールで固定されボロボロ二された背骨を勇者の痛みなんて無視されて無理矢理治された勇者カイゼルは、復讐に燃えていた。


 戦士マットは、この作戦を終えたらずっと狙っていたマリーナを自分の側室にしようとしていたので、焦る。

 なんとか、この作戦を成功させたら勇者パーティー引退を考えていた。

 

 ヒーラー タマタフと、賢者 タマミは、もっと焦っていた。魔法が全て使えない。魔力増幅スキルも発動していないのか、ステータスウインドを出して見たが、祝福の光での儀式で賜る祝福スキルすべてがグレー表示になっていた。しかもジョブもグレー表示になっており、うっすらと消えそうになっている。


 子どもの時に獲得した身体強化しか使えない状態だ。

 まずい!なにをされたかわからないが、元に戻させないと!


 自分達が、なにをやらかしたのかを全く考えずに、戦力の到着を待って、再戦闘の用意をする。


 そして、やって来たこの王国の、勇者達と共に、あの島を攻める事にした。


 地元勇者3パーティー。そして、異世界召喚勇者からの中堅組らしい奴らが来た。

 教会からも、幹部が来て宰相も何故か来た。

 船も用意出来ていたのだ。負ける要素なんてない。


異世界36日目 昼


 ついにマスタ・オオベ捕獲作戦が始まる。

 地元勇者達は、あんなへなちょこぐらい一捻りだという異世界召喚勇者達を、先にあの島に行かせることにしたのだ。

 地元勇者達は、総合ランキング1位の勇者カイゼルが負けたのだから、怪我をしたくない。

 そしてこの作戦を成功させて、報酬に引退を考えていたので、怪我もしたくなかった。


 (異世界勇者達サイド)

 楽な仕事だから行けと言われたが、まさか現地に着いて言われた仕事が、大縁(おおべ)の捕獲で、しかも教会に送れだと!

 あの野郎生きてやがったか!そんな時に、この遠征隊の最高戦力が帰ってきた。


 果蓮 杉名(かれん すきな)

「く、奴ら、私達をぶつけて様子見をするつもりだ。かなり強い奴だという。」


 は?

 と、おもったが、勇者様は雷で重症だ。ポーションとか神聖魔法が効かないという。

 ったく!いい加減なゲテモノラーメンなんてつくるからだ。

 

 だが、ここで俺達の有用性を示さないと駄目だ。

 本当に奴が生きていたとしたら…、そして、あの伝承が本当なら、直接の殺しは駄目だ。


 

(島にいる一行サイド)

 来たか! 魔力探知に奴らの魔力が引っかかった。

 

 ここに奴らがせめて来る前に空間部屋にマリーナとナツを逃がす。

 そして、最大火力でのマグマ魔法をすべての魔力を込めて打ち込んでオレも空間部屋に、にげる。

 魔力ポーションを飲んで、すぐに[掌握]を使って、竜巻の錐にしてあの島を突き刺す!


 ドーーー!

 ジュワァー!

 ドーーー!

 ジュワァーという音と共に緑の煙が立った!

 やった!サソリ装甲を貫通して体液と反応したか?

 そして、またドーと音がした。

 中心部をねらったが外れたか?


 [掌握]で船を操作して、さらに距離を取りっていると、イカにボロボロにされながら船団がこちらにやって来た!

 そして、攻撃してきたのですぐに逃げる!


 ガン!

 ガレー船というのか?大勢に櫓をこがせて移動する大型船は大破した。向こう岸の方からどんどんガレー船がくる。

 ち! この王国の軍隊か?[掌握]で船を操作して逃げ回る逃げ回る!

 どんどん撃たれるファイヤーボール!

 逃げながら魔力ポーションを飲んで、また逃げる。


 ん?あれはカラオケ組?アイツラが来たのか!

 せっかくダンジョンで命を助けたのに、また来るのか?

 ファイヤーボールが、眼の前に来た!

 どん!あちーい??? あれ?熱くない!

 どうなっているのだ?


 そして、カラオケ組が、火の槍を撃ち込んで来た!

 

果蓮 杉名(かれん すきな)

「あんたには贅沢だけど、槍を撃ち込んであげる!」

 このクソ裏切り者め!

 見てろよ!この世界から生き残って、しっかりと先祖の仇を討ってやる!


果蓮 杉名(かれん すきな)

「避けられると思った?ざ~んね~ん!」


カラオケ組のクソ鳥頭

「俺様のチートスキル(必中)をかけてやる!ケケケケケケケ!」


 ズドドドドドド!

 

 6火槍がすべてホーミングミサイルの如く、命中したが、は???熱くないのだが?


「アホ!幻覚なんて聞くか!」


果蓮 杉名(かれん すきな)

「な、なんですってー!」


「薬まで、やっちまったら人生終わりだ!アホ!」


果蓮 杉名(かれん すきな)

「クコ!魔力増幅よ!他のやつも加勢しろ!

 ファイヤーランス!」


鳥頭達

「必中!」「威力3倍!」「体積3倍!」「ワープ」


 は?ワープ?なんだそれ?

 突撃、火力が上がって大きくなって、オレにめがけてやって来たファイヤーランスは、突然消えていきなりオレの眼の前に来た!


 ドドドドドドドドド!

 3本の火の大槍(ランス)が、3倍の数になって全部命中した。が!その時!


 ドがん!

 サソリの毒の尾が命中して、カラオケ組の1人に刺さった!


 そして、ガレー船が炎につつまれる。

 船を操作して、ん?あれ?このガレー船の砕けた部品とが、オレのふねの補強に[掌握]で取り寄せて使えるぞ!

 木片が集まって、さらに頑丈になる船。

 そして、サソリの廃語にすぐに移動する。

 サソリは、ガレー船団を壊して行っている間に、アナウンスが入る。


 そうか、アイツラは戦線離脱か。

 

[敵の逃亡によって、戦闘の一つが終了しました。スキル[体験学習]により、火魔法[ファイヤーランス][必中][威力3倍][体積3倍][ワープ]を会得しました。]


 へ~。ん?この威力3倍ってスキルは1日に1回の制限の代わりに魔力消費はないのか。

 アイツラ、こんなスキルをもらっていたのかよ。


 [ワープ]は、空間魔法の類だが、何かを必中の上位互換みたいな感覚のカスタマイズされたスキルだな。一度使うと、一ヶ月使えないってクールダウンが長すぎだな。


 船団は全滅した。逃げ出しやがったな。

 さて、今使わないとヤバそうだな。マグマを撃ち込んだところから光の柱が立っている。

 回復してるのだろうな。


 ワープ!

 サソリの背中にのる!う!き、気持ち悪いな~、クラクラする。

 魔力が半分回復してる!マグマ魔法![威力3倍][掌握][必中]!

 全魔力を喰らえ!


 どん!


 マグマ魔法のドリルは、何故か胴体と尾の境目に移動してサソリの装甲を溶かし始めた。


 レッサーサタニックスコーピオン ゲロオナ

「ギャーーー!おのれ!貴様ごと終わりだ!」


 は?喋った? 自爆するつもりか!ヤベ!魔力が無い!

 あ、そうだ!あれを使おう。

 チャージスキル 脱出用緊急転移を使用!


 フッと、オレはモンスターフォレストの中にある小屋にいた。

 なるほど!ここが一番近くの安全地帯か。


[レッサーサタニックスコーピオン ゲロオナが、討伐されました。大量の経験値が入ります。ネームドの異世界間災害指定モンスター(魔王級)の討伐によって特典がありますが、保留されました。

 [体験学習]により、脱出用緊急転移を会得しました。

 空間魔法との適合処理がはじまります。

 同時に脱出した魔石は空間収納に保管されました。]


 フラッと魔力切れで身体が揺れたとき、フヨンとするナツの膝に頭が着地する。

 そのまま意識がすらくなった。


[速報]勇者命令違反。勇者撃退される。そして、勇者の魔王との戦闘拒否の疑い。



 

 

 



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る