第2話 先週、僕は一人になって。
最近、部屋の片付けを始めた。
彼女の物が家に多すぎて、目につくたびに気分が落ち込み、どうしようもなかったからだ。
歯ブラシとか、服とか目につきやすいものから処分していく。
彼女の私物は何も考えず捨てるようにした。
感傷に浸って居たらどうせ一ヶ月経ってもこの部屋のままだろうから。
処分に困るのは二人共用で使っていたものや、彼女からのプレゼントだ。
僕は暫くゴミ袋と相談した後、共用のものはとっておくことにした。
今から全て買い直す程の金銭的余裕はないし、それにまだ捨てるための踏ん切りがつくほど大人じゃなかった。
一週間程度じゃ、僕の気持ちは何も変わらない。
いつまでこのままなんだろう。
そう思いながら思いながら僕は、彼女の痕跡を消していく。
「……これからどうするかな」
別に生活には困らない。
家はあるし、仕事もある。家事だって出来ないわけじゃない。
人生の楽しみもないわけじゃない。
僕はそれなりにオタクだから、彼女が出来てから控えて居たオタ活を再開しても良いかもしれない。
……駄目だ、どんなにポジティブに考えても、気分が上がらない。
彼女は元気だろうか。
家もないわけだし、私物の殆どはここに置いっていったから、困ったりしていないだろうか。
僕はゴミ袋に目をやる。
ーもしかしたら取りに帰ってくるかもしれないし、捨てないほうが……ー
頭を振ってそんな考えを振り払う。
「はぁぁ……」
ほんと、女々しいな。自分がこんなに弱いなんて思わなかった。
彼女が家を飛び出すとき、手を掴んでいれば、
何かが変わったのだろうか。
僕はゴミ袋の口を閉じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます