第2話 先週、僕は一人になって。

最近、部屋の片付けを始めた。


彼女の物が家に多すぎて、目につくたびに気分が落ち込み、どうしようもなかったからだ。


歯ブラシとか、服とか目につきやすいものから処分していく。


彼女の私物は何も考えず捨てるようにした。


感傷に浸って居たらどうせ一ヶ月経ってもこの部屋のままだろうから。



処分に困るのは二人共用で使っていたものや、彼女からのプレゼントだ。


僕は暫くゴミ袋と相談した後、共用のものはとっておくことにした。


今から全て買い直す程の金銭的余裕はないし、それにまだ捨てるための踏ん切りがつくほど大人じゃなかった。


一週間程度じゃ、僕の気持ちは何も変わらない。


いつまでこのままなんだろう。


そう思いながら思いながら僕は、彼女の痕跡を消していく。


「……これからどうするかな」


別に生活には困らない。


家はあるし、仕事もある。家事だって出来ないわけじゃない。


人生の楽しみもないわけじゃない。


僕はそれなりにオタクだから、彼女が出来てから控えて居たオタ活を再開しても良いかもしれない。


……駄目だ、どんなにポジティブに考えても、気分が上がらない。


彼女は元気だろうか。


家もないわけだし、私物の殆どはここに置いっていったから、困ったりしていないだろうか。


僕はゴミ袋に目をやる。


ーもしかしたら取りに帰ってくるかもしれないし、捨てないほうが……ー



頭を振ってそんな考えを振り払う。


「はぁぁ……」


ほんと、女々しいな。自分がこんなに弱いなんて思わなかった。


彼女が家を飛び出すとき、手を掴んでいれば、

何かが変わったのだろうか。


僕はゴミ袋の口を閉じた。





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