第1話 今日、私は一人になって。
今日私は、彼氏の家を飛び出して夜空の中を一人で歩いていた。
なんとも言えない開放感。
今までが不自由だなんて思った事なかったけど、意外と自分があの環境に縛られていたって事が分かった。
悪い言い方をするなら、家族でもない人とずっと同じ家で過ごしていたんだから、多少のストレスは溜まっていても仕方がないのかもしれない。
でも、それを踏まえても今の私はとても身軽で、何でも出来そうな気がしていた。
「さて、とりあえず何処に泊まろうかな」
今からホテルは……厳しいだろう。
銀行のカードはちゃんと持ってきたから、お金はあるのだが、この時間だと部屋が埋まってしまっているだろう。
しょうがない、ネットカフェにでも行くか。
普段の私なら、ネットカフェで寝泊まりなんて怖くてする気にもならなかったが、何故か今は抵抗感がなかった。
スマホで1番近くのお店を探して、店内に入る。
内装は意外と綺麗で、忌避感なんてものは感じなかった。
なんだ、全然平気じゃん。
初めての利用だったので、会員書を発行して貰い、施設の使い方について説明を受けた。
寝れそうな少し広いマットの個室を選んで、中に入る。
パソコンとデスク、そして黒いマットがあるだけの地味な空間。
お世辞にも広いとは言えないが、私はこの雰囲気が気に入っていた。
あぁ、私って恋愛向いてなかったのかもな。と本当に思った。
こうして一人でいることが、楽で楽で仕方がなかった。
そっか、難しく考えることなかったよね。
スマホに彼から電話がかかってくる。
少し迷ったが、私は意を決して着信を切った。
悪いことしたかな、とは思わなくもない。でも、今更話し合ったって一緒だろう。
私と彼は合わなかった。
彼は優しい人だし、もっと素敵な人といずれ幸せになれる。
だから今、別れたばっかりの私がこうやって一人を楽しんで、幸せでも文句言わないでね。
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