第28話 開拓Ⅰ

俺は執務室で思索に耽っていた。

ライナに知識を伝授したころに思っていたが、この世界がリアルになったというのにゲームのころの知識で動いてることが多かった。ゲームのころにできなかったことで今できることは何かないだろうか…。


そうだ。魔の樹海を開拓しよう。


魔の樹海は帝国の南に広がる広大な森である。大帝国が滅びたのも戦乱や内乱と魔の樹海からくる大量の魔物が原因と言われている。


閑話休題


ゲーム上での仕様としては、プレイヤーがレベル上げするための場所として用意されてる。魔の樹海でレベルを上げ、強くなってから他国との戦争などを行うというのがセオリーであった。


俺はくそざこで戦闘職ではなかったが、何度かレイナースやらシリスの育成で訪れたことがあるくらいだ。ゲームの知識としてどんな魔物がいるかは知っているし、ゲームのころには経験値を稼ぐための場所として村を設置するなどできなかった。


俺はすぐさまゼノを呼び出す。


「魔の樹海を開拓しようと思う」

「良いかと」


意外だな。反対されるかと思った。

ここ最近、ゼノにお金をねだることが多く、もうそんな金はありませんと言われるかと思っていた。


「確かに金はかかりますが、開拓と同時に樹海の倒した魔物を素材を売れば、経費も削減できるでしょう」


あぁそっか。確かに魔の樹海はレベル上げと素材集め及び金策に適していたからな。軍も動員して大がかりに行えば、採算が取れるとまでは言わないが、稼げるというのは確かだ。


「正直に言いますと。魔の樹海開拓を宣言することでかなり期待できると思います」

「どういうことだ?」

「魔の樹海を開拓するということは商人にとってチャンスです。まず村の基礎を作り、開拓と同時に狩った魔物の素材を集めます。商人たちはこぞって買いに来ることでしょう。もちろん開拓に必要な物資を持参してですね」


ゼノは一枚の紙を取り出し循環する3つの矢印を描く。


「開拓と同時に魔物を狩り、その後商人が開拓に必要な建築資材などを持ち込み、帰りは魔物の素材を引き取る。これらの流れは開拓地域に金が集まり、金が集まれば人が集まります。経済効果としてはかなり期待できるかと」


なるほど。開拓に必要な資材を商人に持ってこさせるわけだな。

元商人としてやはりゼノは商人というものをよく理解しているように思える。

俺には全くわからん!


「では開拓の宣言を行う準備を頼む」

「畏まりました陛下」


さぁこれから、忙しくなるな。

主にゼノが。



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