第23話 帝城

帝都に戻ると、国民みなが大通りに並び凱旋を祝う。

俺は馬車の中から手を振る。なんか目線が合う度に黄色い悲鳴が聞こえるんだが…

ほどなくして一団は帝城に着き、そこで解散となる。


帝城に入ると、まずジークとメイリアを帝城の近衛騎士団の宿舎に預ける。


「拾ってもらった恩忘れません」


メイリアは調べたところによると、もともと魔物に滅ぼされた都市の貴族に使える騎士の家系だったらしい。だが、家族も親戚も魔物との戦いで果てて孤児としてこっちに来たらしい。ジークは騎士に憧れるスラム街の孤児だった。彼に才能があることが分かると、メイリアは彼に稽古をつけていたようだ。

彼らがこれから鍛錬に励み、立派な騎士になることに期待しよう。


急いで式典の準備を行う。

ジェイソンを伯爵に任命する儀式を執り行い、その後顔つなぎのパーティーを行い、彼はとんぼ返りすることになる。

事前に連絡はしてあるので、準備自体はできており、簡単な打ち合わせと衣装の着替えぐらいだ。


「ジェイソン・シルビアを帝国貴族の伯爵に任ずる」

「ハッ!シルビア伯爵家は帝国に忠誠を誓います!」


ジェイソンの肩に剣を載せることで儀式は終了だ。

この時、使用している剣はかなりの名剣で美しい輝きを放つ。まぁ俺が持ったところで使いこなせいんだけど…猫に小判である。


式典後、夕方近いこともあってその後パーティー会場に移動する。

パーティーはすでに始まっており、俺は遅れて到着することになる。パーティー用の衣装にも着替えないといけないし…まるで着せ替え人形だな。

準備が終えると、ノエルとカミーラを伴い扉の前で待つ。


「皇帝陛下、ノエル様カミーラ様。御入来!」


俺は彼女らを連れて、開かれた扉をくぐる。

入るとゲーム内でも見知った貴族の面々が跪いている。


「みなご苦労。楽にしてくれ」


そう告げると、彼らも立ち上がりこちらを見上げる。


「今日のパーティーは新たに帝国貴族になったシルビア伯爵を歓迎する意味と、もうひとつ。みなに報告することがあるのだ」


なんかこういう報告ってちょっと緊張する。


「此度、私はノエルを妃に迎えることとした。カミーラ殿もシルビア伯爵家から側室入りすることを皆に報告する」

「陛下おめでとうございます!」


数々のお礼の言葉が届く。

貴族の令嬢の中には俺に熱心な視線を送るものがいたが、ノエルに気づくとさっと視線を逸らしていた…。

まぁいいか。俺は近くのメイドからグラスを受け取る。


「さぁ更なる帝国の繁栄を願って!乾杯!」



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