第22話 孤児

やり残したこともなくなり、俺たちは帝国へ帰還する運びとなった。

帰りの馬車は俺とノエルとヴァリエールの3人で、ジェイソとカミーラは別の馬車に乗っている。ヴァリエールは私は空気ですと言わんばかりに気配を消している。


途中休憩のタイミングで暇だったということもあり、孤児たちに鑑定スキルを使う。

なかなか見込みのある子はいないな~と思ってると、二人の少年少女が目に映る。


片方は日本人としてなじみ深い黒髪で赤の瞳を持つ少年で、もう一人は金髪碧眼の少女だった。二人は木の棒で模擬戦をしている。

あの年齢にしてはレベルの高い戦いをしているように思える。

黒髪の少年に鑑定スキルを使う。



Lv3 ジーク・シグライト

特性:「剣術」「強靭な肉体」「不屈の精神」

体力:200

攻撃力:50

魔法力:10

魔力量:20

防御:100


この子すごいな。まさに剣士になるために生まれ来たような特性だ。

強靭な肉体で体力と防御力がが高いのが良い。

もう一人の女の子はどうだろう。


Lv5 メイリア・キャスペル

特性:「剣術」「俊敏」「高潔」「美形」

体力:150

攻撃力:50

魔法力:20

魔力量:40

防御:50


こっちもなかなか凄いな。フィジカル重視の力強い彼の攻撃を受け流せるのは、身軽さと技術の高さ故か、同じ剣士でも両極端な二人と言える。何より高潔と美形という特性も持ってるのも素晴らしい。

こういう逸材を見つけると、つい欲しくなる。

俺は護衛を引き連れ、彼らに近づく。


メイリアはこちらに気づき、すぐさま跪く。ジークのほうはそれを見てから慌てて跪く。もしかしてメイリアのほうは高潔もあったし貴族階級出身かな?


「君たちの訓練を見せてもらった。素晴らしい才能を感じる。もしよければ私の下に来ないか?」

「えっと…」

「ありがたき幸せ。若輩の身ですが、精進いたします」


メイリアは即答し、横で跪くジークを小突く。

急かされて慌ててジークも答える。


「あ、ありがたき幸せ。僕も精進いたします」

「詳しいことは帝都についてから話そう。また後でな」


彼らを迎えるにあたって、特別待遇になってしまうがグレードの高い馬車に乗るよう指示し、レイナースに話を通しておく。


「お任せください陛下。立派な騎士に教育してみせます」


丸投げではあるが、まぁその道のプロから教わったほうがいいのも事実。時折、様子を見て差し入れなどを持っていくとしよう。

思いがけない幸運にほくほくしながら馬車でノエルとおしゃべりして時間を過ごす。


遠くに帝都が見えてきた。




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