最終面接

 その日、蟹山はもちろんのこと、犬原は病欠であった。ただし、犬原に限っては、副業のやりすぎで、夜に寝られず、ただ、家で寝ているだけの可能性が高い。

 金太郎向けの外線が鳴り止まない。金太郎の表情にも余裕がない。外注先にトラブルがあったようだ。はっはっはっ、ざまぁみやがれ〜。

 これで金太郎が次に昇進する可能性はなくなっただろう。しかし、俺はもうじき転職するんだが。まあ、一応、金太郎に一言、声をかけておこう。

「金太郎。大丈夫か?何かトラブルでもあったのか?」

「ちょっと、外注先の工場で出荷停止になってしまった」

「そうか、大変そうだな。」

 桃太郎は外回りをするふりをして、面接へと出かけていった。


 今回の最終面接は、面接官と1対1で、質問内容は二次面接の時とほぼ同じ内容であった。質疑応答がほぼ終わったとき、面接官が思わぬことを口にした。

「二次面接の参加者は全員、不合格者だったんです。鬼はともかく桃太郎は採りませんからね」

「じゃあ、何で、私は?」

「あなたの経歴を見ますと・・・、まあ、そこらへんは、採用には関係ないので。さて。最後に何か質問はありますか?」

「桃太郎じゃないんでしたら、私は何なんですか?」

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