第4話 勇者と聖女の旅

この作品はダブル主人公なので、作者も解りやすいように!

進藤君のストーリーは ”EP~”

佐藤君のストーリーは ”第~話”

で今後表記致します!


――――――――――――――――――――――――――――――


彼らと別れ王都を去ってから早1週間、僕達は貧乏クジを引いたのかもしれない…というか確実に―――


「くそぉぉ! こんな事なら、進藤達に付いていけばよかったよ! …はぁぁぁ!」

『ギャギャ~!!』


僕は召喚した聖剣で見知ったみどり色の身体の小人のようなものの身体を切り裂いた。


「ゴブリン…かな? 緑色の身体に子供位の身長…歯も発達してるし…なんか変な臭いもする……あと鼻もながい……」

「しかもこいつら! 連携を取ってくるから厄介だ! 対人戦を熟知している!」


よく見れば僕の攻撃を誘い出す為に鉄製の鎧に身を包んだゴブリン…後方にはすかさず隙を逃さない弓を装備したゴブリンと、僕の世界のゴブリンよりもたちが悪い。


『ギャギャギャ!』

『『『ギャギャ~!!』』』

「っち! またか!」


極め付けは、状況が不利だと判断するや否や…その場から一斉に撤退する。

前衛はしっかり後衛を守りながらの撤退…敵ながら天晴な対応力である。

そんなこんなで、ゴブリンによる襲撃がここ数日連続で続いてる―――それも見るからにそれぞれ別の群れなのだろう。


目的があいちゃん、だったりしたこともあったがそれは一度切きりで、僕達のマジックバックを明らかに狙ってきていた。


「知恵も回ると来たか…厄介だな」


それに踏まえて、この世界はでなくロボットが存在している世界…それは魔物も例外ではなく、なにやらスクラップで組み上げたような―――ちぐはぐなロボットを操縦してくる事もあった。

機士鎧デミナイトギアと言ったか…あれほど巨大ではないが、それなりに小回りも効くことで余計に厄介である。


「やっぱり…私達も…ロボットがいるかもね? ゆうくん……」

「全くその通りだよ…」


思い返せば…進藤の奴が戦っていたあの黄金のロボットも、もしかすると僕の今の力では対応できなかったかもしれない。

なんせ今の僕達も―――


「やっぱりそう…力が弱くなってる……」

「だよね…間違いなく。 あの国を出てから僕達の力が弱くなってる!」


とは言え、襲ってくるゴブリンに後れを取る事はない…しかし、着実に1週間前よりも力は落ちている。


「けれど…これはまだまだ成長できる余地があるという事か…」

「うん……このままいけば…以前よりも…各段に強くなれる」

「あぁ、そうだね。 これなら、結末にならずに済む…僕達はずっと一緒にいれるんだ」

「うん…ずっといっしょ…ゆうくん」


抱きしめ合った僕たちは互いの温もりを感じた後、再び足を進める事にした。

まずはどこか別の国を目指すのが先決だろう…しかし妙な事に、周囲からは人間の気配は愚か魔物の気配すらも感じない。

ゴブリンは確かに襲い掛かってくるが、それでもゴブリン以外の魔物を見ないというのは妙だ。


「あいちゃん。 やっぱり何も感じない?」

「うん…私の探知魔法でも……何も感じない…」

「そうか。 けれど、この先に人の気配がするんだよね?」

「うん…それは間違いない…ただ…どれくらい先か解らないけど…」


気を落としてしまったのか、まるで妖精のような可愛らしい姿の彼女が顔を伏せてしまった。


「ちがうちがう! あいちゃんを攻めてる訳じゃないんだ! こんな森の奥深くに人の気配があるなんて変な世界だな~と思って!」

「……うん。 それは思った………けれど、かなり多い反応…」

「そこまでか…」


この森を抜ければ街があるのか…そもそも、森の中に街が存在しているのか、彼女の口ぶりからしてかなり大きい街なのかもしれない。

だけど、この森に続く道は補装されているとはいえ馬車が通ったような跡や…足跡すらないように感じる。

元から使っていなかったのか? はたまた、ゴブリン達が生息している事もあり放置していた? そうなると誰がここを補装しているのか?


疑問は次々湧き上がってくるが、今は突き進むしかない。


「それにしても…この世界はすごいな。 辺り一面マナだらけだ!」

「…うん。 これだけマナが溢れてれば…回復もはやい」


普通なら肉眼で見る事の出来ない”マナ”、だが”魔眼”を使う事でその姿を実際に見る事ができる。

僕達のエネルギーの一つで魔法を使うために必要な要素だ。

それがこんなにもあふれているとなると、この世界の人間達は余程恵まれているのかもしれない。


「となると…やっぱり僕の推測は正しいのかもしれないね」

「…うん。 マナであのロボットは動いている…」

「あぁ…」


これは僕達も早めにこの世界のロボットを手にする必要があるかもしれない。

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