EP03 幼馴染と元・艦長と
佐藤達と別れてから3日程経った頃だろうか。
俺と由紀の2人はナビが示す謎の印に向かってただ突き進む事にした―――
『現在の調子ですと。 1週間と2日程度で到着する予定です―――』
「あぁ…そうか…はぁ…はぁ…」
異世界に来て丸三日歩きっぱなしでも色々と疲れるものがある…疲労困憊の俺とは違い幼馴染のギャルさんはというと…
「ふん~♪ ふん~ふん~♪ わぁ! なんだろこれ! 綺麗な花!」
「なんなんだ…この差は!?」
『バイタルや肉体のチェックも致しましたが、特に異常はみられませんでした。 疲労も艦長に比べて百分の一程度です。 彼女単体であれば1週間とかからないペースで到着可能でしょう』
はいそうですか…足手まといですよね? これ?
とはいえ、強化スーツの着用も制限され…俺にできる事と言えば、携帯用の装備をこの場に呼び寄せる事位だろう。
「にしても…おもったより自然がたくさんあるな…」
国王の話によると、辺りは軽く戦争をしている…みたいな事を言っていたが、レーダーにそのような反応は見受けられない。
ついでに熱源の反応の丸三日間はない、佐藤が言うように魔物?なる存在は果たしてこの世界に居るのだろうか。
それすらも怪しくなって来た。
―――――――――――――
その日の夜の事。
「ファイアー!」
ボッ!!
そう唱えた瞬間、彼女の手の平からは軽い放射型の炎が出現した。
「ほぇ~…すげぇな。 魔法…」
拾った枯れ木に炎を灯す由紀と、それをただただ羨ましそうに見つめる俺。
寝る間も惜しんで彼女は魔法を習得する日々を過ごしている―――なんというか、向こうに居た時よりも楽しそうだ。
「でしょ! いい感じ! けど、真央のこの~焚火の煙を吸収する小型の窯? これもすごいねっ!! 全っ然! 煙が外にもれないじゃん!」
「ははは、まさかそうとう昔の携帯装備が約に立つとはな…おれもびっくりだ」
「それにしても。 真央の性欲が無くなった理由…この力が原因だったなんて、ねぇ! 本当にマジで今はなんにも感じないの!?」
と俺の恥ずかしい過去を暴露しながら放漫な胸をこちらに近づけてくる由紀。
もみ…
「ひゃ!///」
すかさずそれを揉んで見せるも、何一つして感情が動かされることはない。
「だ、だめだ! なにひとつとして感じん!」
「え~…あんなに13歳まではお猿さんみたいに盛ってたのに!! エッチな目で私の事を見てたのに! なんで!!」
「うっ……いや、それは…」
というのも、俺が元々転生者である事を知ったのが13歳の誕生日を迎える頃の事であった。
タイミングも相まって当時は、クラスメイトの連中にも驚かれた位に…まったく大人しくなってしまったらしい。
今もあの時の事を覚えているが…それもう巷でびっくりするくらい有名なエロ餓鬼だった。
が、この力を代償に俺の性欲は再び封印されることとなった。
そして―――18歳を迎えるまでに色々と準備を始めていた俺だったが…結局それも目途が立たなくなり半分諦めた状態。
しかし! しかしだ!
「で? 本当にその…ビーコン? が反応している所にいけば、ちゃんと色々と治る感じなんだよね!?」
「あぁ…めちゃくちゃ下の方なんだが…」
ピコン!
俺は由紀にも見える様に仮想ディスプレイを表示させると、色々と映る項目の下の方へとスクロールしていく――――戦艦レベルUP・施設の開放などなど色々とみえるものをすっ飛ばし。
「これだ…」
――性欲解放――
異なる世界では不要とされた人間的欲望のひとつ。
その欲望を再び呼び覚ます事が出来る。
――解放条件:不明――
「な、なに…この嘘みたいな本当の話! って感じのやつ!」
「ははは…まさか異世界に来た事で悩みを解決できる糸口を発見する事になろうとは…」
「よしよし…これで…真央と…うしししし…」
なにやら隣から途轍もなく不吉な雰囲気を感じるが、まぁ…悩みの種が解決できるというわけで目的地に向かうとしよう。
それにしても、本当に魔物をみないな…こっちの方向はあまり魔物が生息していないのだろうか?
「けど、まさか…こんなに早く真央と一緒に共同生活が始まろうとしているなんて! ふふふふ…ぐへへへへへ!! じゅるり――いい感じ…」
いや、前言撤回しよう…モンスターは既に俺の隣に生息していた。
クラメイト達から超絶人気を誇っていた、パッション系ギャル”綾坂 由紀”その正体はめちゃくちゃスケベで独占欲強めな女の子なのである!
まぁほら、俺達二人と実は佐藤達も義理の両親たちに迎えいれてもらう前は普通に施設で暮らしていた。 ―――所謂孤児というやつである。
気付けば一緒に行動するようになり、なんだかんだと同じ中学…同じ高校と入学し今に至る。
いや、というか…こういう変な喋り方もギャルにちょっとなりきれていない所もだいたい俺のせいなので、彼女の事は最後まで責任を取るつもりでいる。
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