第10話 クラスマッチはG1レースではない。



うちの学校はクラスマッチになると生徒会が厳密に練習場所と時間を割り当てる。なぜかというと、過去「場所取り」が過熱しすぎたからだ。学級リレーでも自主朝練するのが当たり前。クラスマッチともなると、「如何に練習時間と場所を確保するか」ということで朝7時登校が6時になり、5時になり・・・ついには「テントを張って泊まり込む」事態にまで発展したらしい。さすがにやりすぎということでストップがかかり、今現在に至る。



・・・ただ、あんまり乗り気じゃないんだよねえ・・・

女子はバスケ、男子はサッカー、学年ごとにやればいいのに、なぜか全学年一斉実施。女子のところに行くのもなんだか気がひけるし・・・。


んでもって冬。

寒い。待ち時間長い。

教室に帰ってストーブにあたっとこう。


・・・?なんかニオイがする?


「なにしとん」


「寒いから甘酒つくってる」


「は?まずくねーか?」


「ダイジョーブ!どーせ見に来ない!」


「・・・ショウガもあるのかよ」


「ん。すりたて。」


「いやウマイけどさ・・・」


「そんでさ、このままマジメにやっても面白くないじゃん?」


「もう優勝の目はないからなあ」


「だろ?そう思って準備してきたものがある」


「準備良すぎね?」


「ホラこれ」


「・・・マジカーこれやるん?」


「甘酒のんだろ?」(ニヤっ)


「・・・策士めッ・・・・」




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

(ただいま準備中)



おい、背中テープ貼ってくれ



何番よ?





こっち9



これ剥がすとき大丈夫か?



オレ皮膚持ってかれそう・・・



あーあと視界確認しとけよ?あぶねーから



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





「あれー?7組はー?せっかく見に来たのにー?」


「あ。カナー。それが男子どこに行ったのかわかんないんよ」


「えー。そろそろ試合でしょ?」




「Aコート、次の試合は2-7対2-1です。準備をしてください。」



「「うーす」」





♪ パーンパカパーン パパパパーン パパパパーン (G1レースのテーマ)



「ブハっ!?」


「・・・・ナニアレ」



登場したるは冬なのに上半身全裸にして背番号を黒ビニールテープではりつけた・・・・




馬のカブリモノをかぶった面々。



各馬横一斉にゲート・イン。


「「「よっしゃ 行くぞーーーーー!」」」「「オーーーーーー!!!!」」




「はーーーーい、そこのバカども帰れー」



「「「・・・うぃーーーーーす」」」


出走時間、たった10秒。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「さっきのあれ、なんだったん?」



「いや、ついノリで」



「バカだねええ・・・」



「笑いはとれたぞ??」



「風邪ひいたら会えなくなるんだけど?」



「・・・・スミマセン 気をつけます・・・」













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