第11話 負けずギライ




「あっはっは・・・・。こりゃヒドイわー」


3年生、最初の模擬テスト・数学の結果は、なんと200点満点中、10点。

しかも答案用紙の途中式に「ここまで」と区切られての得点。

つまり100点中5点、実質0点と言ってもいい。


笑うしかないが、笑ってる場合でもない。

この時期に流石にこれはヤバすぎる。



カナは元々コツコツ頑張る方だ。ただ、志望している大学の学科は一番人気が高く、要求される点数も高いので、今は寝る時間を削りながら志望校目指して頑張っている。


「1日が24時間じゃ足りない。30時間くらいほしい」


って言っていたけど、今になってわかる。

その時は(30時間もあったら次の日が来る=会えるようになるまでの時間が長くなるやん)とか、ノンキなことをかんがえていた自分がちょっと恥ずかしい。

いや、本心ではあるのだけれど。


仕方ない。塾に行くかー行きたくないなー。

でも同じ学校目指すならこのままじゃあ無理だしなあ。

こっちは文系で、カナほど点数はいらないけど、それでも頑張らないと。

得意教科と不得意強化の差が激しすぎるんだよなあ・・・。


とか言いつつも、結局1学期はまだ部活をして、それが終わったら文化祭でバンド演奏をし、(カナがキーボードで誘われて、合わせてベーシストとして声がかかったから引き受けた。)夏休みから本気出す、って感じだったんだけど、事件は文化祭後の期末事件で起こった。


期末テストの生物の点数、89点。

うちの学校は順位の公表をしない学校だったけど、答案を返す時に先生が「今回は90点台2人だけだったぞー」と言ってたので、必然的に理系文系合わせて3位確定。


で。当然カナとも「何点とったか?」という話になるのだが・・・。


「ワタシ85」

「オレ89点」


と言った瞬間、みるみるカナの表情が変わり、走り去ってしまった。


(ありゃ~・・・)と思ったのもつかの間、


廊下のかなたから迫りくるのはカナの友人’s。


「さっきカナ泣いてたんだけど、なにかあったの!?」


いやそんなケンマクで言われても。


「いや生物のテストの点言ったらあーなった」


「・・・・あーあそういうことかー・・・・」






その日のうちにカナからきた手紙には、


「ごめん、悔しかったから」


・・・そりゃそーだよね。むこう理系だしモロ目指してる分野が生物科学系だし。

でもいっつも負けてるからたまにはいいじゃん、と思わなくもないけどね。こっちは数学と英語という2大天敵が控えてるんですってば・・・。



それにしても、受験、めんどくさいなあ。

早く解放されたい・・・。

あと8か月間で終わるけど、その時カナと僕はどうなっているんだろう?

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