第54話 アラミスVSシェムハザ

~シェムハザ復活まで 残り約3時間30分~


「よぉ、来たか、シェムハザさんよ!」と、七聖剣(クラウ・ソラス)の変形型・大剣を肩に担いで、アラミスが声をかけた。

 アラミスの視線の先・・・光の神殿の地下3階、かつてここにも封印の石像がびっしりと並んであったが、スマローコフのせいか、今はすべて砕け散って粉々になっている。

 ヅラ・ラ・ラスコー二から、シェムハザは黒い塊で、大きな醜い姿をしていると聞いたアラミスは、大剣を用意して待っていた。

 神殿の地下3階の4隅には、封印石と呼ばれる結界石のようなものがあるが、そのうちの一つが破損していた。そこから、黒い塊がぶつぶつと沸騰している水のように湧き出て来る。

「誰だ、我の名を呼ぶものは」

 と、アラミスの頭上から声が響く。間違いない、あの黒い塊・・・シェムハザの声だ。

「俺?俺のことも知らなわけ??俺は、通称・神すら恐れる剣士・レオンことアラミスよ!」と、アラミスが名乗る。

「我は神だったが、お前のことは恐れないぞ」と、シェムハザがつぶれたような声で言った。

「それは俺を侮りすぎ」と、アラミスは言ってのけた。

「次元展開!!」と、シェムハザが言った。

(コイツ、今なにした・・・??呼吸がいったん苦しくなって、元に戻ったが・・・)と、アラミスは剣を構えて思った。

「おや、普通に息をしているね。大地の巫女の加護のおかげかな??」と、シェムハザ。

「お前、言え、さっき何をした?」と、アラミス。

「我がいるところ、すなわち死霊の国となる。この場を死霊の国にしたまでよ」と、シェムハザ。

(なんか厄介な話になって来たぜ・・・!!)と、アラミスがにやりと笑う。おもしろいことになってきた、と剣士の血がうずく。

「死霊の国・・・伝説でだけ聞いたことあるぜ!何が来るのかな?」と、アラミスが引きもせず言う。

「ここは死霊の国なのだ・・・常人なら呼吸すらできない場所・・・」よく見ると、白い霊気のような雲のようなものが、地下神殿に漂う。アラミスは、光の加護の力をわずかに感じた。

「天使と悪魔の存在を、君は信じるかね・・・・??」と、目のない黒い物体のシェムハザがにやりと笑う。口元だけは確認できた。鋭い牙が生えている。

「天使と悪魔ぁ??知らねぇな」と、アラミス。

「なら教えてやろう」と、シェムハザは、死霊の国の72体の悪魔を送り込む仕草をした。アラミスが瞬時に動く。

(なんか厄介なもんが送り込まれてきても困るな。どうせ召喚系だろ??)と、アラミスが、召喚する主であるシェムハザ本体に猛ダッシュする。

「一閃・幻日!!」と、アラミスが剣をふるう。

 だが一瞬遅かった。すでに、シェムハザが、3体の悪魔を地下神殿に呼び出していた。アラミスの繰り出した炎系の技は、その3体の悪魔を斬るにとどまった。

 3体の悪魔が、切れた体を修復しながら、にこりと笑う。

「初めまして、悪魔さん」と言って、アラミスと3体の悪魔が斬り合う。

 悪魔も、剣(降魔剣)を持っているため、3対1で斬り合うことになっている。

「二閃・青月!!」と、アラミスが、新手の5体の悪魔ともやりあうとき、そう叫ぶ。

 5分間ほど、常人には見えないスピードでの斬り合いが展開された。なんども、剣と剣のぶつかるにぶい音が聞こえる。

 アラミスは華麗に敵の攻撃をかわしつつ、大刀をふるう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る