第52話 ヅラVSアテナ神

「・・・!?!?!キサマは・・??」と、ジェームズ。

『私は神、アテナ神だ。神すら超える剣士とあだ名されている貴殿の最期を見届けに来た』と、アテナ神は言った。

「・・・俺は逃げる気はない。この焔の中で死ぬ」とだけ、ジェームズは言った。

『炎の中で死ぬぐらいなら、聖人にならないか、ジェームズ・フォーリーンよ』と、アテナ神が言った。

『生きて、このようなむごいことが起きない世の中を、一緒につくらないか』


                      *


(あの時キサマはそう言ったな・・・!!!)と、ヅラ・ラ・ラスコー二は怒りの中思った。

「ははは、どうした、威勢がいいのは最初だけか!」と、アテナ神が笑う。

 次の瞬間、アテナ神の首は横ではなく縦に真っ二つに割られていた。

「一回目。キサマを殺した。威勢がいいのは、どうやらお前の方らしい」と、アテナ神の背後の死角にまわって、ヅラが言った。

「なっ・・・」と、ぐにゃりと空間がゆがみ、アテナ神のまっぶたつに斬られた体が再生する。

「二回目。――黎明・残紅(ざんこう)。貴様を二度目に殺した。その気分はどうだ」と言って、ヅラが、地面に横たわって痛みにのたうち回るアテナ神を見おろして言う。

「まだ足りないようだな。三度目、貴様は地獄を見る」と、予言するようにヅラが言った。

「い、痛い~~~~!!きさまぁあ、その技、一体どこで覚えたっ・・・!!そんなの、前世で使っていた記録は残ってない・・・くそぉ・・・・」と、アテナ神がなんとか立ち上がる。

「いいから、すぐに時を巻き戻すでもなんでもいい、リアンノンちゃんとシルウェステルさんの石化を解け。どうせお前が促したんだろう、さっさと解け」と、ヅラが剣を手につめよる。

「あんな女になんの価値がある・・・」とアテナ神が負けずに言い返そうとしたとろで、ヅラが三度目の技でアテナ神を焼き尽くした。「かがり火・狼火」とヅラが言って、アテナ神を炎の焼地獄に閉じ込める。

「剣士は鍛錬を怠らないからこそ、一流なのだ」と、ヅラが静かに言う。

「分かったぁ~~~~~~~~~~~~~~!!」と、眼窩が落ち窪んだ骸骨姿のアテナ神が叫び、右手を軽く動かした。

 次の瞬間、アテナ神が天界の神々に命令したらしく、アテナ神の左手から、カロンの首輪が抜け落ちた。地面にぶつかり、カツーン、と音を立てる。

 ノストラダムス神がその場に姿を現し、地面に落ちたカロンの首輪を手に取り、ヅラ・ラ・ラスコー二に一礼した。

「私なら、現・大地の巫女とその青年を救えます」と、ノストラダムス神。

「きえぇ~~~い!!」とノストラダムス神が不思議な呪術を使い、カロンの首輪を、石像のリアンノンの首にかけた。

 そして、祈祷のような仕草をし、呪文を叫ぶ。

 次の瞬間、焼焦げカスになったアテナ神と、石のカウチのようなベンチに横たわるリアンノンと、それにもたれかかっているシルウェステルと、あっけにとられたヅラと、仕事を終えたノストラダムス神がその場にいた。

「リアン・・・」と、シルウェステルが眠っているリアンノンをゆさぶる。

 目を覚ました二人は、静かにキスをした。

「はて、ヅラ・ラ・ラスコー二殿、これではシェムハザは復活してしまいますぞ。その手はどうお考えに??」と、ノストラダムス神。

「世界が滅びますぞ??」

「それなら問題ない」と、ヅラ。

「奴がいる。神すら恐れる剣士、アラミスがいるので、問題ないでしょう、神々の一人さん。我々が行っても逆に邪魔になる、ここは弟のシルウェステルさんに、悪神シェムハザを倒すよう、彼に進言してもらいましょう」と、ヅラが冷静に腕組みして言う。剣はしまってある。

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