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 さて、こちらを開いてくださった皆々様。

 まずはこの物語をお読みくださったことに、心よりの御礼を申し上げます。

 そして少々口に出すのが憚られるお願い事を一つだけ。

 暗闇市は狭間の市場。何かを得るには何かを差し出すのが市場の理。――物語の対価を、頂戴致したく存じます。

 とはいえ、この膨大な物語の中からあなた様がこちらを選び訪ね、開いてくださった。この事実そのものが、何事にも代えがたい至上の喜びでございますれば、対価を強制することは決して致しません。あなた様のお心のよろしいようにと、そうなさって頂ければ幸いにございます。

 ――いえ、対価といっても、大層なモノを求め、あなた様を困らせる気持ちは毛頭ございません。物語の対価には『物語』が適当でございましょう。

 対価となる『物語』は、例えば日々の由無し事、つれづれなる思いの一片ひとひら、そしてあなた様自身の書き綴った物語、そのいずれにも属さぬものなど、どんなものでも構いません。直接お書き頂いても、りんくとやらを載せて頂いても、題字の表記でも構いません。必ず、大切に拝見します。

 そしてあくまでここで頂く『物語』は対価でございますれば、挨拶、感想などとの抱き合わせなど、諸般のお気遣いは無用にございます。勿論、もし感想などを共に頂けることがあれば、それは何より嬉しくありがたい事でございます。

 さて、こうしてこちらが長々と話続けていては興が削がれるというもの。こちらの『お願い』がけして強制ではないと、このことだけ今一度申し述べましたら、つまらぬ繰り言はこればかりに致しましょう。


 今宵でこちらの物語は幕を下ろします。


 しかしまたいずれ、あなた様が狭間に迷い込むことがあったならば、その時は。

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暗闇市で逢いましょう ウヅキサク @aprilfoool

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