第4話言葉のバラ

「そうだ、相談ついでなんですが、逃走資金に所持金全額はたいてしまったんです。なにかお仕事はありませんか。」

ラビィが聞くと、プリンセスは受付役の顔になる。

「そうですねえ、宮殿のバラ園のお手入れのお手伝いなんてどうでしょう。うちの庭師さん腰痛もちで、いつも次の代がきてくれたらって言ってるの。」

「分かりました。ぼくにできることならやらせてください。」

ラビィはさっきの庭師のところに行った。「さっきは剪定ばさみを壊してしまってごめんなさい。」

「いいんだいいんだ、新調してもらえるさ。それまではお古のハサミでなんとかやる。それよりバラ園の手入れを手伝ってくれるんだって、あれは骨が折れる。なにしろバラたちが色々主張をするもんでね、知恵熱がでそうになる。こっちだ。」

ラビィは庭師についてバラ園まできた。

「こう密集している箇所をハサミで落として・・・。」

「あらいやだ、私を落とすつもり?これからがきれいなときだっていうのに!」ハサミで落とされそうになったバラが声を上げる。「あのう、ぼくももったいないとおもうので落とすもの、もらっていいですか?」ラビィが提案する。

「まあ、わかる方ね。」バラがおとなしくなる。

「ああ、もうそうしてくれ。」庭師が投げやりに言った。

「それから根の方に霧吹きで水をたっぷりやる。バラの文句さえなかったら簡単さ、わかったかい?」

「はい。できます。」ラビィはハサミと霧吹きを受け取った。


・緑バラのワード

緑バラは言った。

「私は葉っぱ色。花びらなのに葉っぱ色。でもいいの、つぼみのままの、若いままの心だから良いと思ってるの。」

ラビィはそれを聞きながら、密集した箇所を剪定した。


・青バラのワード

青バラは言った。

「不可能は可能に、いつかなると思うこと、それは夢と現実のはざまの白昼夢を見ているようなもの。素敵な時間よね。」

ラビィはそれを聞きながら、枯れそうな葉っぱを摘んだ。


・赤バラのワード

赤バラは言った。

「不変の強い印象、愛情、情熱、栄光。私はまさにそれだけど、その印象に負けない自分をもつの。そう、私自身もまさにそれなの。強さは好きよ。」

ラビィはそれを聞きながら、トゲを磨いてほしいと赤バラが言うのでトゲをみがいてあげた。


・空色バラのワード

空色バラは言った。

「私は空じゃないけれど空の色をしてる。だから空でもあるの。違うけどそうなれる。それは自分の見方次第。あなたも空になれる?」

ラビィはそれを聞きながら、霧吹きで水をたっぷりあげた。


・黄バラのワード

黄バラは言った。

「黄色い声あげてるからって軽い子だなんて思わないでよね。この思いは本物なの。声を上げるほど強烈なの。」

ラビィはそれを聞きながら、落ちた枝葉を掃除した。

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