第25話 シグレの決意

「そんな魔物の封印が解けるなんて……」

「ゴルゴーンだけじゃない。眷属のリザードマンも大量にいるんでしょう? ゴブリンよりもはるかにつよいのよ。逃げなきゃ……」

「逃げるっていってもどこに逃げればいいのよ……」

「やっと私たちが自由に生きられる場所を見つけたのに……」



 集められた巨乳少女たちの表情は暗い。それも無理はない。迫害されつづけていた彼女たちがようやく手に入れた楽園だったのだ。


 それが封印された魔物たちによって脅かされている。リザードマンはゴブリンよりもかなり強く訓練を受けていない人間が集団で戦っても勝てるような相手ではない。だから彼女たちが絶望するのも当たり前だった。



 私だって、セイン様に会わなければ、暗い表情で生き続けていただろう。彼女たちの力になりたい……だけど、どうすればいいかわからず悩んでいる時だった。



「私は戦おうと思うわ」

「アネット本気で言っているの!?」

「ええ、最近は農作業をやっているだけとはいえ、元冒険者ですものそこらの魔物には後れをとらないわ」



 驚きの声をあげるヨーナさんにアネットさんはまじめな顔でうなづく。その顔には入り口で出会った時の優しい顔ではなく戦士の顔だった。



「この胸のおかげでソロの冒険者にならなければいけなかった私を救ってくれたのはシャーロット様よ。あの人が作ってくれた楽園を守るためならば、この命惜しくはないわ」

「私も……昔は騎士見習いだったの。魔法がつかえないから騎士にはなれなかったけど……あの時の鍛錬はこの時のためにあるのと思うのよ」

「そうね……シャーロット様ならきっと何とかしてくれると思うし、私たちで時間を稼ぎましょう」



 鍬を剣の様に振り回さすアネットさんの言葉で他の人々も立ち上がっていく。圧倒的な危機なはずなのに彼女たちの瞳に絶望はなかった。

 シャーロット様ならばこの危機を何とかしてくれると信じているのだろう。私がセイン様を信じているように……

 そんな光景を見て胸が熱くならないはずがなかった。私は必死に考える。自分にも何かをできないかと……

 そして、皆の決意にまとめ役であるヨーナさんがふっと笑う。その瞳はうれしそうなのには気のせいではないだろう。



「全く仕方ないわねぇ。だったら戦闘経験者はすぐに武器の準備を!! 万が一に備えて剣や弓、盾の準備はしてあるわ。非戦闘員はバリケードをつくって!! 逃げたいという者には馬をあげるからそれで逃げなさい!!」

「「「はい!!」」」



 ヨーナさんの言葉で村人たちが即座に行動を移す。そして私も一つの決意をする。



「シグレさんは馬は乗れるかい? ここは戦場になりそうだ。セイン様の元に逃げて……」

「いえ、私にも手伝わせてください」

「でも……」

「足は引張りません。私も神聖術は使えるんですよ」



 私が落ちていたナイフで自分の指を切り、力を使うと暖かい光と共に傷がふさがる。

 その能力は治癒と身体能力アップ。この能力に気づいたのはセイン様にはじめて巨乳だとばれたときだ。

 あれ以来神聖術を使えるようになった私はマッサージをしながらセイン様を治癒したりしていたのだ。

 そして、密かにその能力を磨いていた。いつかセイン様にみせようと……それを使うのは今だと思うのだ。



「あんたも使えるんだね……でも、その力を公にしたきっと……」

「ええ、私の能力は頼られ利用されるかもしれません。でも、その覚悟があるから見せたのです」



 力には責任が伴う。今回力を見せたことによって、彼女たちは私を頼るだろうし、このちからのことがもれて何者かにさらわれる可能性だってある。

 だから、元々セイン様にしか伝えるつもりはなかった。でも、ここで彼女たちを見捨てることはできなかった。



「だって、私はセイン様の専属メイドですから」



 そう、巨乳な少女救うという目的を持ったちょっとエッチだけど優しい私の大好きなご主人様。私はこの人のようになりたいとおもったのだ。





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