第26話 ゴルゴーン

「あんたなんで馬車より早いのよ!?」


 馬を探してやってくるヒルダ姉さんといったん分かれて俺はシャーロットを背負いながら村へと向かっていた。

 特訓の成果なのかアクセラレーションを3重にかけても大した負担はなく走れるようになっているのだ。



「ヒルダ姉さんの特訓とヘスティア様の加護かな? 俺はシグレと心を通わせたからか、治癒能力と身体能力アップの神聖術が使えるようになったんだ」

「ふーん……あのメイドとは心を通わせているのね……」



 耳元でささやかれる言葉が少し機嫌悪そうになったのはきのせいだろうか?



「村に封印されている魔物に関しては何か知ってるの?」

「ええ、かつてヘラの信者を大量に倒した魔物で、『蛇の美姫ゴルゴーン』という魔物よ。あの村に封印されていたの……」

「なんか石化とか使ってきそうな名前だね」

「えらいわね、ちゃんと勉強しているんじゃない。その瞳で見つめられたものはすべてを石化し、その髪の毛は一本一本が猛毒を持つ毒蛇っていう状態異常を得意とする魔物よ


 FGOとかギリシャ神話でよく聞く名前だったので、何気なくつぶやくとシャーロットが満足にうなづくのを背中越しに感じる。



「なるほど……状態異常がメインか……まずいね、状態異常を回復できるのはシャーロットだけか。絶対守るから後方支援は頼むよ」

「その心配はいらないわ。私もヒルダの特訓は受けているのもの。それに状態異常の回復をできるのは私だけじゃないわ。救世主は私たちヘスティアの加護を持つ力を持つ人間の力を使えるんでしょう? 状態異常とデバフを使えるはずよ」

「ああ……でも、救世主は心を通わさないと使えないんだよ。だからまだシャーロットの力は……」

「……そろそろついたわよ、私たちはかなり硬いからきをつけなさい」


 俺の質問は答えずにシャーロットが声をあげる。彼女の言う通り硬いものがぶつかり合うような音が響いている。

 リザードマンの強さはゴブリンをはるかに凌駕するはず彼女たちは大丈夫だろうか?

 巨乳な女性たちが傷ついているのを想像してしまい思わず焦る。


「シャーロット!! 飛ぶよ!!」

「わかったわ」


 彼女がぎゅーっと抱きしめてくると同時に俺はさらにアクセラレーションを重ね掛けする。

 足がべきと悲鳴を上げ痛みをが走るが、無視して全力で地面を蹴って木の柵を飛び越え空中で治癒する。

 そして、俺たちが見た光景は……



「シャーロット様だ!! シャーロット様がやってきてくれた!! これで私たちは百人力よ!!」

「このまま一気に洞窟まで押しのけるわよ!!」


 巨乳奴隷たちは武器をもってリザードマンと対等に戦っていたのだ。しかも、その身体能力はとても高く、うちの兵士と互角かそれ以上だろう。


「ねえ、彼女たちってもとは凄腕の冒険者だったりする?」

「何人かはいるけど……ここまで強いはずないんだけど……」

「おお、シャーロット様、セイン様戻ってきてくれたんだね」



 茫然としている俺たちに声をかけてきたのは大きな斧を持ったヨーナさんだった。かなりの数と戦ったのかその斧にはリザードマンの返り血らしき緑の血がべったりとついている。


「あんたのメイドはすごいわね、私たちに強化魔法だけでなく治癒魔法をかけてくれていたおかげでかろうじで踏みとどめているわ」

「シグレが……?」


 俺がヘスティア様の加護を使えるのだ、彼女が使えることには驚きはない。だけど、これまでの彼女はこっそりと俺の傷を治癒するだけだった。表立って加護の子とは言いたくないのだろうと思っていたのだが……


 シグレも戦うって決めたんだ……この数を強化して治癒するのはかなりつらいはず……



「なるほど……私たちが戻ってくるのを信じて……みんな限界ぎりぎりまで強化して戦っていたのね……。だったらわたしたちがやることはわかっているわよね?」

「ああ……もちろんだよ。シャーロット。筋肉痛になっても怒らないでね」

「あんたこそぬるい強化したら後が怖いわよ。私をあおったんですもの。お礼にかっこいいところもみせてあがるわ」


 俺の背中から飛び降りるとリザードマンの死体から剣を奪ったシャーロットにアクセラレーションをかけて、同時にリザードマンたちに切りかかる。


「シャーロット様!?」

「ここは私たちに任せなさい、セイン、背中を預けるわよ」


 アクセラレーションによって強化されたシャーロットはまるで舞うがごとくに相手の攻撃をかわして的確に急所を突いて息の根をとめていく。

 おれもまた負けじと食らいつく。リザードマンは確かに強い。だけど、ヒルダ姉さんの特訓に比べれば話にならない。



「あんたもやるじゃないの」

「そりゃあ救世主だからね」

「二人ともすごすぎる」


 軽口を叩きながらリザードマンの数をへらしていく。俺たちの参戦によって均衡状態は崩れて、やつらをおしやっていく。

 その時だった。


「シャーーーーー」


 金属音のような音が聞こえたかと思うと、リザードマンたちがまるでモーゼのように洞窟までの道をあけたのだ。

 その行動にまゆをひそめていると理由がわかった。一人の人影がやってきたのだ。


「不快なるヘラの信者どもが……わが恩讐を知るがよい」


 その人影を見て俺は思わず声をあげる……



「おっぱいでっか!!」


 そう、ゴルゴーンは爆乳だったのである。







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