とある家族の話

とある家族の話

夕暮れ六時頃の少し暗くなった道。


畑から出て来た耕運機が残した土が、まばらに散らばっている少し汚い道。


季節は8月半ば。


外では鈴虫と蝉の大合唱の真っ只中であった。


そんな何気ない景色を、ふと思い出した。


当時は地元の高校に通っていた。


家には働きながら家事をしてくれる母とフリーターの兄。


それと弟の僕の三人で暮らしていた。


あの時は特に部活に入る訳でもなく、適当に日々をぶらぶらと過ごしていた。


コンビニはあるがファストフード店は無く、コンビニが憩いの場でもあった。


その日は数人の友達と遊び、帰路についた時だった。


ああ・・・・み・・よ・・・お・・・・さ・・・んよ・・・


と、途切れ途切れの歌の様な物が聞こえてきた。


不思議でなんとも不気味な歌だったが、辺りは暗く、早く帰りたかったのもあり、好奇心で止まりそうな足を動かし、数分程で家に帰った。











家に帰ると母の鼻歌と、弟の「おかえり」が僕を迎えた。


ジャージから着替え、肩にかけられている重い荷物を下ろす。


食卓につき、水玉模様のエプロンを着た母とする他愛のない会話。


ご飯を食べ終え、風呂に入り、歯を磨きの仕事を片付け、床につこうと思ったが、やることがある為、今夜は少し遅くなるだろうと重い、予め買っておいた缶コーヒーを飲み作業に取り掛かった。









ああ・・みよ・・・お・・なる・・たん・・・よ・・・


目を覚ましたのは不思議な歌だった。


兄が歌って居るかと思ったが、兄は作業をしている様で壁を隔てた横の部屋にいる。


布団から這い出て、歌が鳴る場所を探そうと部屋の電気を付けようとしたとき。


すぐ横から、扉の向こうから歌がなっていることに気づいた。


僕の部屋は扉を隔てた向こう側に廊下があり、廊下を挟んで少し右側に母の部屋がある。


廊下で誰かがこの歌を歌っている。


そう考えた瞬間、怖気と緊張感が体を駆け巡る。


扉を開けるか、無視して布団に潜るか。


数秒考えて、扉を開けるという決断に踏み切った。


不審者だった場合、対処できるよう右拳を握り振り上げた体制で扉を開けた。




ぎぃぃ







扉の前には誰もいない。


でも歌はまだなり続けている。


僕の横で、不思議で不気味な歌を歌っている。


横?



ああそうか



横じゃない。


後ろ。


後ろでなっているんだ。





ごっ







気付くと知らない部屋に居た。


真っ白い壁に、ワンポイント。


黒い扉が目の前にあった。


銀色の少しひんやりとしたノブを握り、扉を開ける。


少し重いノブが違和感を感じさせた。


ぎぃぃっと重い音が鳴り扉があく。


目の前には、異様な光景が広がっていた。


人の四肢で作られた、気持ち悪い程に綺麗な五芒星。


真ん中には、巻かれすぎとも言えるほど角(つの)が巻かれた、人だと思われる頭蓋骨があった。


五芒星の角(かど)には火がついた蝋燭が置かれ、弱々しい火が地面を照らしていた。


少し目線を上に上げると、血塗られた壁があった。


血塗られた、とは少し違う。


川、と言う漢字の様な縦の三本線に、一本横線が引かれた物だ。


それが無数にあるのだ。


数十や数百ではない。


数千、はたまた数万あり、それが壁を埋めていた。


一通り部屋を眺めた後、五芒星の横に四肢が抉られた肉塊があった。


顔は綺麗に半分に切られ、誰かの判別がつかなかった。


四肢を抉られた肉塊には水玉模様のエプロンが着せられていた。


その五芒星と肉塊の横で頭蓋骨に対し、崇める様な行動をしている男がいた。


僕だ。


何故だろうか。


僕はこっちにいるのに、何故あそこに僕がいるんだ。


違う。


僕じゃない。


あれは僕じゃない。


兄だ。


兄なんだ。


僕はふと自分の足元を見た。


そこには体を支えてる筈のものがなかった。


ふと気になり、体の横を見た。


やっぱりない。


ああ。


あの五芒星は僕なんだ。


僕の四肢なんだ。


それに気付くと同時に、恍惚とした表情の兄が近づいてきた。


ありが・・・これ・・ぎしき・・・・かんせ・・・あえ・・・


途切れ途切れの言葉を、最後まで聞くことが出来ずに僕の意識は途切れた。











『本日未明、〇〇県の〇〇市の家で家族三人が亡くなっているのが発見されました。

亡くなったのは母親の井田〇〇さん(48)、長男の井田〇〇容疑者(18)、次男の井田〇〇さん(15)の三名で、全員が一室の中で亡くなっていました。


部屋の中には五芒星などの悪魔信仰に近い物が多数あり、長男の井田〇〇容疑者が一家心中を図ったとし、捜査を進めています』・・・



「怖い事件もあるんやねー」


「ほんとに外には気おつけなね」


「じゃあ行ってきまーす」


「「いってらっしゃーい」」











━━ガヤガヤ━━



━━ギコギコ━━




「あ・・かみ・・・いなる・・・たんよ・・・

ああ・・みよ・・おおい・・・るさたんよ」








ああ、かみよ。おおいなるサタンよ。















後書き


今回自分の二作品目となる物で、一作品目と同様に神や化け物に近い物に関する作品を書いてみました。


悪魔を信仰してた兄が一家を殺す。


そんな感じの考えがふと思いつき、学校の行き帰りの汽車で書いたので、文法がぐちゃぐちゃだと思います(笑)


自分が下手だったのもあるので、気づいてくれた人はいるでしょうか?


実は今回の作品はたびたび人物の視点を変え、最初は弟の視点、次は兄、そして弟のような感じでした。


途中でそれを思いついたので、書き直すのが大変でした(笑)


母だった肉塊の部分は、書いてる自分に対して嫌悪感を抱いたので、読者の方は大丈夫だったのか心配です。


これからも、ちょくちょく作品を投稿していくので、評価などよろしくお願いします。


読みにくくてすいません💦


それではまた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

とある家族の話 @taika2totomi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ