第23話 魔道バイクで追いかけろ
持ち物は全部空間収納へしまう事にした。
料理人が作った料理を大鍋ごと。街で買い付けた大量の小麦粉と油。
初級回復薬は1000本作った。
エチルアルコールを、植物を素材にして「醸造」して大量に作り、シリコンゴム容器に入れた。
武器はクロスボウと矢、投げナイフ、メイスなど複数用意して持っていく。
テントは家にあるものを持って行く。
準備は時間がかかっても多分追いつくと考えて2日掛けて念入りに準備した。
◇
私はいま風になっている。
魔道バイクの魔道モーターは順調そのもの。翼を付けたら飛べるような気がしてくる。
後ろの席にはセリーナがいて、その後ろには、投げつけるための武器が置いてある。といって、ただの石だったり、エゲツナイ系の水風船だったりする。
大きな荷物は全部私の空間収納に入っているから、荷物はほとんど無いように見える。
「お嬢様、風が気持ちいいですね。それに馬と違って速いですし、馬と違って長く走れますね」
「いいでしょう。今度のお休みで運転を交代しましょうね」
「了解しました。がんばります」
だいたい1時間に1回くらい休憩して、どんどん先に進んでいる。運転を交代しているから体も楽だと思う。
街道は思ったよりも道が良いのに驚いた。馬車が走れるくらいだから、大きな石は無いしバンパーとゴムタイヤの付いているバイクの方が馬車より揺れないのだろう。初めはエアバイクを考えていたけれど、道を走るバイクにして良かったとも考えている。
「お嬢様、水場です。休みましょう」
「わかったわ。セリーナ、美味しいお茶をいれてちょうだい」
「お任せください、お嬢様」
バイクを道の横に停めたら、すぐに空間収納にしまう。面倒はできるだけ避けて先にすすみたいから、人目を避けることにした。
水場で、顔を洗って、スッキリして、お茶を頂くことにした。小さなパンのようなお菓子とジャムが出てきた。何のジャムかな。おいしい。少し休憩したら、さっさと出発する。すべては事件回避のためだ。
「盗賊や魔物が出るかもしれないと思っていたけれど、出ないわね」
「はい。盗賊や魔物は王都近くではあまり現れません」
「ああ、治安の問題?」
「そうですね。街道の警備隊や冒険者ギルドで雇われた人が討伐したり、巡回したりしているからでしょう」
なるほど、危険になるのは王都から離れてからということか。だったら、今のうちに距離を稼ごうかな。
「セリーナ、運転は大丈夫?」
「馬より楽かもしれませんね。力づくで押さえつけて乗るというより、やはり技術ですね運転というものは」
やっぱりセリーナはスーパーメイドだった。
「運転に慣れたら、今のうちに距離を稼ぎましょう」
「はい。それは、速く走るという事ですね。了解しました」
スピード計も無いし、燃費も分からないから、くず魔石の量を確認しながら走ろう。タイヤにも気を配っておこう。
私たちは、お昼休憩もとらず、1時間に1回の目安で休憩して走り続けている。太陽が真上から少し傾き始めた頃には、かなり王都から離れた所を走っていた。
そろそろ何か起きるかもしれないという予感がしたら、風に交じって悲鳴が聞こえる。
「セリーナ、いま悲鳴が聞こえた。前に魔物の気配がする」
「わかりました。助けましょう。バイクはどうしますか」
「魔物が小さかったら、バリアを張ってそのままぶつかって、力づくで倒そうと思う。大きければ降りよう」
「了解しました。お嬢様」
しばらく走ると、ゴブリンの集団に襲われた馬車が倒れている。
「突っ込みます、セリーナは降りて負傷者の救助をお願い」
「お任せください、お嬢様」
スピードを落としたら、セリーナは「とう!」と言って飛び降りる。まるで、仮〇ライダーみたいだと思った。
今度は(バリア)を意識して展開してから、エンジンをふかして突っ込こむ。
「「グゲグゲー!」」
驚くゴブリンに体当たりして6匹はね飛ばす。
Uターンしてからもう一度突っ込む。また5匹ほどをはね飛ばす。
ゴブリンの近くに行ったら、石を投げてダメージを与える。
エゲツナイ物は、人に当たると危険なので使わないことにする。
バイクから降りて、空間収納にバイクをしまう。
10m以内のゴブリンには、クロスボウを打ちまくってダメージをあたえる。
その後、クロスボウもしまって、格闘術で戦う準備をしたら、もう無事なゴブリンはいなかった。
セリーナを見ると、短剣の両手持ちで、次々にゴブリンの首を落とし、心臓を貫いてとどめをさしている。
ようやくゴブリンが片付いたので、けが人を見つけて、初級回復薬を配っていく。
お礼を言われたけれど、先を急ぐからと言って、笑顔で「さようなら」を言って去る。
ちょっとカッコ良かったかも。
「お嬢様。なかなかのご活躍、お見事でした」
「セリーナも血まみれで活躍お疲れさま」
「ゴブリンが出て来る原因ですが、オークが近づいているからというのもあると思います」
「なるほど、小物の魔物は、オークから逃げたいからそうなるんだね」
そんな話をしていたら、団長さんの一行が『探知』できた。探知のレベルは99だし。もしかして、好きな人の探知は999まで上がるとか無いかな。うふふ。
こっそり後ろから魔道バイクで近付いて、声を掛けた。
「団長さん! お元気ですか。付いてきちゃいました。モウカエレマセンヨ!」
――――――――――――――――
名 前:サリー・グレアム
スキル:基礎魔法
スキル:聖魔法Lv99(身体強化、バインド、バリア)
スキル:格闘術Lv70
スキル:弓術Lv55(上昇)
スキル:調合Lv99(初級回復薬、中級回復薬、上級回復薬)
スキル:科学魔法Lv99(抽出、合成、変形、発酵)
スキル:鑑定Lv70(上昇)
スキル:探知Lv99
スキル:危機察知Lv50
スキル:栽培Lv50
ギフト:女神フリーディアの加護(空間収納、科学魔法創造、スキル習得率大幅増加)
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